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世界を震撼させた9.11同時多発テロから5年目を迎えた11日、ニューヨークの世界貿易センタービル跡地などで追悼行事が行われた ▼夜空に青白く浮かぶ光の「世界貿易センタービル」は幻想的ですらあったが、米国の誇った超高層ビルが瓦礫と化していく凄まじい光景を初めて見た時のショックは、今も脳裏に焼きついている。どんな理由があるにせよ、一般市民を巻き込むテロはあってはならない ▼いろんな行事が行われたなかで、ある興味深い会議が8日、ニューヨークで行われた。9.11同時テロの米国遺族と世界各地のテロや戦争被害者らが自らの体験を語り合うもので、主催はブッシュ政権の対テロ戦争に反対してきた9.11の遺族団体「ピースフル・トゥモローズ」。朝日新聞9日付によると、スペイン列車テロの遺族、ルワンダ虐殺の生存者ら世界18カ国30人以上が参加した。日本の被爆者も参加している ▼対話を重ねることによって、暴力と憎悪の連鎖を断ち切ろうという会議の趣旨に共感を覚えた。「9.11」のようなテロは決して許されることではない。しかし、その後のブッシュ政権の対テロ戦争でどれほどの民間人犠牲者が生まれたことか。イラクやアフガニスタンの安定もほど遠い。欧州や中東では一般人がテロにおびえる日が続く。英国では新たなテロ計画が発覚したばかりだ ▼対テロ戦争は憎しみの連鎖しか生まないということが、この5年間の一番の教訓だ。だからこそ、テロの犠牲となった人々の遺族が、その連鎖を断ち切ろうと声をあげたことには意味がある。(聖) [朝鮮新報 2006.9.14] |