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春・夏・秋・冬

 自民党元幹事長の実家が放火されるという事件があった。犯人は右翼団体の幹部だったというが、動機は「小泉首相の靖国神社参拝に対する一連の批判発言が気に食わなかった」ということに集約される

▼警察官、公務員の後を絶たない不祥事、そして親の子殺しに子どもの親殺しと、物騒を飛び越してこの社会の道徳観念はどうなっているのかと目を覆うような惨状だ。そうした風潮の中で起きた放火事件、暴力で気に食わない意見を封じてしまおうというあってはならない事件だが、標的にされた政界からの反応は驚くほど小さかった

▼勘ぐれば、「靖国参拝」に反対するものたちはそうした対象になってもしようがないという、一種の「了解された雰囲気」が政界には存在するのだろうか

▼日本社会の体質の一つとして、「長いものには巻かれよ」ということがよく指摘される。自分の意見を言わないことによって結果的に事実を追認してしまう。社会が成熟していないことの証左だと思うが、朝鮮バッシングに見られるように、いわれなきバッシングに「ノー」と口を挟む者には集中的かつ集団的なバッシングが加えられる

▼石原都知事は五輪誘致の国内選考に際し、福岡支持発言をした姜尚中東大教授を指して「変な外国人が変なことを言っている」と発言した。「変な外国人」という表現から差別の匂いを嗅ぎ取っているのは筆者だけではないだろう。人の痛みを理解できず批判を浴びてもまた繰り返す。だから放って置けという人もいるが、逆に何度も指摘して思い知らさねばならない。(彦)

[朝鮮新報 2006.9.2]