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今月初め、都内で米日国防族(ペンタゴン、防衛庁OBと国会議員ら)と軍需産業関係者が出席してセミナーが開かれた。取材は原則禁止でマスコミ関係者の出入りは厳しく制限されたという ▼セミナーという冠はかぶっているものの、いわば身内同士の集まり。気安さも手伝ってか出席者の口はなめらかで、活字になれば世間を揺るぎがしかねない類の話まで「和気あいあい」と披露されたという ▼なかでも開会直後、東北アジア通で知られるブッシュ1期政権高官の側近は日本の現状をこう揶揄したという。「日本のみなさんは、北朝鮮に感謝すべきだ。北朝鮮のおかげで堂々と国防予算の増額を要求し、兵器のさらなる近代化、自衛隊の強化を論議することができるようになったのだから」 ▼直接的には、7月5日の朝鮮人民軍のミサイル発射訓練をさしていることは容易にうかがい知ることができる。いうまでもなく、ミサイル発射訓練は主権国家の権利である。そうした事実については英タイムス紙や米ニューヨーク・タイムス紙ですら直後に指摘している。拉致事件に軍事的脅威をおっかぶせて「いびつな朝鮮像」を作り上げ、それを改憲、戦争のできる国家作りへの梃子にしようとする日本支配層の有りさまからは、政治を行う者としての資質のかけらすら見えてこない ▼安倍官房長官は、自衛隊の海外派兵に向けた恒久的な法律の制定を急ぐべきだとの決意を口にした。敗戦の教訓を踏まえない、それ以前に戦争を知らない政治家の軽挙妄動。朝鮮情勢をその踏み台にしようとしている。(彦) [朝鮮新報 2006.8.29] |