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春・夏・秋・冬

 歴史というものは、何も小難しい教科書からしか学べないものではない。そんな思いにあらためてさせてくれる本を読んだ。「なるほど! これが韓国か」(李泳采、韓興哲著、朝日新聞社)がそれ。解放後の李承晩政権から今の盧武鉉政権まで、その時代を象徴する名言、流行語、造語77個を紹介している。言葉ごとに、意味と生まれた背景、解説を加えており、読後には「韓国現代史」がまるごとわかったような気になるから不思議だ

▼李承晩政権時代には「停戦反対、北進統一」「行こう北へ、来たれ南へ」といった言葉が、軍事独裁政権の象徴として南の現代史上最も長期政権だった朴正熙政権時代には「反共は国是だ」「俺たちは機械じゃない」などの言葉が並ぶ。まさにその時代を的確に表している言葉だ

▼あくまで独断に満ちた感想だが、盧泰愚時代までは政治的な言葉が多かった気がする。それが、文民政権と称される金泳三政権からは生活感漂う言葉が目立つようだ。たとえば盧武鉉政権時代は、顔がすごくいい人を指す「オルチャン」、健康な人生を生きるという意味の「ウェルビン」、名前にヨンのつくことからペ・ヨンジュンと同じであることを自慢する際に使う「僕もヨン様」など

▼「韓国では言葉の変化は、社会の変化とも一致していた」と著者が指摘しているとおり、本書を通じてこの60年間の社会の変遷を知ることができる

▼著者は2人とも30代半ば若い世代。言葉を「羅針盤」に「韓国現代史の海原をさまざまな角度から見渡すことができた」と語っている。(聖)

[朝鮮新報 2006.8.22]