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春・夏・秋・冬

 久しぶりに歯切れのいい話を聞くことができた。インドネシアのスカルノ元大統領の未亡人、デヴィ・スカルノ夫人である。7月31日に総聯中央会館(東京都千代田区)を訪問した機会に、最近の朝鮮半島情勢に関する見解を語ってもらった。インタビューの内容は後の紙面に譲るとするが、自分の意見をはっきりと述べるその姿は毅然としていた

▼日本では拉致、ミサイル、核問題と、とにかく朝鮮に関しては悪口さえ言っていればすむ風潮になっている。まるで昔のソ連のように、朝鮮は日本にとって、まさに「仮想敵国」だ。そういう風潮の中で、少しでも客観的な意見を述べると、「朝鮮の味方をするのか」とたたかれる。別段、朝鮮に肩入れしているわけではないにもかかわらず

▼その点、デヴィ夫人ははっきりしていた。ミサイル発射訓練に関しては、世界の47カ国でミサイル実験をしているのに、なぜ朝鮮だけがしてはいけないのか、と疑問を呈した。そして、こういう時こそ「制裁」ではなく、国交正常化が必要だと述べた。夫人の話を聞きながら、ぶれない人≠セと強く感じた

▼このぶれない≠ニいうこと、実行していくのは結構難しい。あふれる情報、それによって生まれる不信感、自信喪失などが要因となって、ぶれずにはいられない状況に陥ることも少なくない。だからこそ、何にも左右されない、しっかりした自分の物差しを持つことが大切だ

▼デヴィ夫人の毅然とした姿勢は、そのことをあらためて気づかせてくれる。こんな世の中だからこそ、とくに。(聖)

[朝鮮新報 2006.8.5]