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春・夏・秋・冬

 連日、筆者を寝不足にしてくれたサッカーW杯はイタリアの優勝で幕を閉じた。同志社大学の浅野健一教授は、教え子らとともに日韓サポーター共同応援ツアーを企画。その様子を本紙に寄稿してくれた。その歴史は8年前の仏大会にさかのぼるそうだ。南のチームを熱心に応援する日本人を見てスイス人が不思議そうにしているので、浅野教授は「過去の歴史を乗り越えて、サッカーを通じて市民交流をしている」と説明したところ、「すばらしい」という答えが返ってきたという

▼スイス人ならずともすばらしいことだと思う。ご近所同士、仲良くするのは良いことだ。市民レベルでのこうした動きは、もう後戻りすることはないだろう

▼だが残念ながら、政府レベルになると、そうはいかないらしい。日本と朝鮮半島との間では、とくに過去の問題があるからだ。市民レベルでは「過去の歴史を乗り越え」交流を促進しようとするのに、国家間では過去の問題が60年以上たっても解決されない

▼そのことを象徴する事件が、つい最近にも起きた。日本の外務省が、南と共に7日から実施することで合意していた強制連行犠牲者の遺骨共同調査を無期延期すると、南側の委員会に通達してきたのだ。延期の理由は明らかにされていないが、ミサイル発射訓練や独島周辺海域での海流調査が原因ではないかとの見方がある

▼民間の調査団体からは、「人道的な問題として速やかに取り組むべき」との声があがっているという。本当の意味での市民交流を後押しする意味でも、一方的延期は撤回されるべきだ。(聖)

[朝鮮新報 2006.7.11]