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京都地裁で、在日同胞高齢者無年金裁判が行われている。原告は玄順任さん(79)ら5人。いずれも70代後半から80代のハルモニたちである。本紙既報のように先月11日の第7回公判で原告たちは、なぜ在日外国人であるがために年金が受けられないのか−訴訟を起こすに至った理由について証言した ▼「私も子どもも孫もみな、税金払っていながら、なぜ年金がもらえへんのやと、そこから(裁判の話が)出ました」「使えるときはこき使って、出すときに出さないのは卑怯」(玄ハルモニ)、「今の豊かな日本の国を共に建設してきた自負はあります。まじめに生きてきました」「どうして私たち韓国、朝鮮籍の人は、生まれた場所が違うからといって、国から差別を受けなければならないのでしょうか」(鄭福芝ハルモニ) ▼民族差別だと一言で片付けてしまうのは簡単だ。しかし、片付けてはならないと思う。人としてこの世に生を受けた者には、すべからく人として生きていく権利があり、その権利を付与、保障していくのが、国家というものの最低かつ最大の役目、責務だからだ ▼さらに日本には、不法にも朝鮮半島を植民地支配した過去がある。在日朝鮮人はその時代、圧制によって故郷を離れざるをえなかったり、強制連行されて日本軍国主義の犠牲になった当事者、そして末裔たちである ▼ハルモニたちの当然の訴えは、裁判官たちにどのように響いたのだろうか。人の子なら、人としての判断が下されると思うが。一方で、われわれとしてのハルモニ支援策も早急に講じるべきだと思う。(彦) [朝鮮新報 2006.6.1] |