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昨秋の6者会談共同声明発表後、それまでの熱意はどこにいったのかと思うほどに静かになってしまったブッシュ政権の対朝鮮核政策。その動きと入れ替わるように、聖職者然として「人権外交」に熱を上げている ▼「核問題というと日本では朝鮮の事しか指摘されないが、米国など有志連合にとっては、イラクと国境を接し有数の産油国であるイランが最大懸案。イランと朝鮮の2戦線では対応しきれないブッシュ政権が、打つ手に困って人権外交に逃げ込んだというのが真相だろう」と専門家たちは解説する ▼米南部一帯で、農業労働など廉価な賃金で雇用されているヒスパニックたちがその非人間的な処遇に抗議、改善を求めて一日の労働をボイコットする出来事があった。黒人差別の根も深い。他国の人権うんぬんの前に国内の人権、人種差別解消に腰を入れるべきだろう ▼そんなブッシュ政権に、最近になって朝鮮政策の変更を促す動きが表面化している。上院のルーガー外交委員長は「北朝鮮関係法案」を提案。8条からなる同案は連絡事務所の米朝両首都設置や米国による食糧支援、朝鮮の安全保障など具体的だが、核の全面放棄などが前提条件になっており、同時行動原則を趣旨とする6者会談共同声明を事実上死文化するもので実現可能性は薄い ▼クリントン政権時代の朝米基本合意を白紙化することから始まったブッシュ政権の対朝鮮政策。当初は通常武力の軍事境界線からの引き離し、削減なども対話の前提にしていた。それがここに至っての「クリントン回帰」。政権末期を実感する。(彦) [朝鮮新報 2006.5.27] |