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春・夏・秋・冬

 与党が提出した「北朝鮮人権法案」の日本国会審議が始まる。外務省関係者らは「人権問題は北朝鮮の弱点。ダメージがあるはず」との「期待」を表明しているという

▼この法案、昨年12月の「国連総会決議」を建前にしながら、「国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害の実態を解明し、及びその抑止を図る」と勇ましい文言が並ぶ。不法な植民地支配の清算もせず、その結果として日本に住む在日朝鮮人の人権や生活権など不十分なまま省みもせずに、こんな法案を成立させようとは、人としての痛みはあるのかと思う

▼ましてや、国交がいまだに正常化されていない非正常な朝・日両国。そんな環境下でいったい「実態を解明」し「抑止を図る」ためにどうするというのだろうか、と首をひねらざるをえない。極めつけは、「改善が図られない」場合には「国際的動向等を総合的に勘案し、特定船舶入港禁止法の規定による措置、外為法の規定による措置」などによって「抑止のための必要な措置を講ずる」という。主権国家を名指しにして「措置を講ずる」など、形を変えた宣戦布告に等しい

▼国会で今後どういう論議がなされるのかはわからないが、現段階で「脱北者の受け入れ、支援」は法案には盛り込まれていない。「人権」をうんぬんしながら、助けの手は差し伸べないというのだから、支離滅裂。排外主義の限界だ

▼ブッシュ政権の「北朝鮮人権法」に追従しての動きであることは誰の目にも明らかだが、朝・日間に取り除くことのできない禍根が残ることを忘れてほしくない。(彦)

[朝鮮新報 2006.5.16]