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NHKが三夜連続で朝鮮の特集番組を放映した。平壌に滞在していた旧ソ連、東欧関係者、さらにはかつて解放直後、朝鮮で活動していた元関係者らから「初めての証言を得た」ことを売り物にした。客観性を装いつつも、安倍官房長官が先頭に立つ今の対朝鮮「圧力」政策に歩調を合わせた巧妙な手法、これが公共放送の正体なのだ ▼この番組でNHKは、何を視聴者に伝えたかったのか、という問いは愚問か。「個人崇拝」と「独裁」と「ルールを破った核開発」−。常識とかけはなれた国家が存在することをアピールし、世論に対朝鮮圧力、瓦解の妥当性を植え付けようとしたことは一目瞭然だったからだ ▼そこには客観性を装いながらも、当時の国際情勢に対する言及はまったくない。米国がどういう政策を取っていたのか、日本はどうだったのか、その支援を受けた南朝鮮はどうだったのか、そしてこの3者の構造はどうなっていたのか。落としてはならない重要なポイントを踏まえないドキュメンタリーなど、ぼう大な予算と時間を費やさなくとも、高校、大学生のサークルでも簡単に作れる ▼朴正煕軍事独裁体制下にあった1970年代初、日本のマスコミが突如、「漢江の奇跡」だと、南朝鮮が飛躍的に経済成長を遂げ、独裁から民主国家へと変貌しつつあるとのキャンペーンを張った事を思い出す。実際は民主のかけらもなく、朴正煕は釜山・馬山での労働者、市民らの決起を契機に、部下に射殺された ▼政治に曲げられた「女性戦犯法廷」ドキュメンタリー、そして今回、マスコミの資格はない。(彦) [朝鮮新報 2006.4.6] |