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春・夏・秋・冬

 「日本外交当局の最高責任者が最近、外交の常識に反する言論を繰り返していることは理解しがたい」。中国外務省の秦剛副報道局長は16日の定例会見でこう厳しく批判した。外交当局の最高責任者とは言わずもがなだ。麻生外相は15日の参院予算委員会で、中朝間の貿易量増加について、「助けているのではないか」と不快感を示し、中国側に説明を求めていると強調した。秦副局長は、「そうしたやりとりは存在しない」として、冒頭の発言に至った

▼言語道断である。中朝の貿易問題は中国と朝鮮間の問題であって、日本の外相がうんぬんできる類のものではない。少なくとも、国の外交の長である外務大臣が公に発言するべきではあるまい。「外交の常識に反する」ものだ

▼麻生外相が13日付の米紙への寄稿で「中国の民主化」を求めたことも、中国当局を刺激している。「日本外交当局の責任者が中国政治体制をとやかく言うのは適当ではない」と、中国側が非難するのも当然だ。台湾や靖国問題をめぐって常識外の「問題発言」を繰り返す外相。いったいどこまでエスカレートするのか

▼しかし、今回の発言は単なる「問題発言」と見過ごしてばかりもいられない。外相の発言の背景には、拉致問題にからむ「北朝鮮制裁」の動きが具体性を帯びてきていることと時を同じくしているからだ。同胞女性への再入国許可保留、福岡高裁の固定資産税判決など、それは総聯を圧迫する形でじわりじわり行われている

▼そのようなタイミングでの麻生外相の発言。今後の動きを注視する必要がある。(聖)

[朝鮮新報 2006.3.18]