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「勝ち組」「負け組」という言葉がどうも好きになれなかった。何をもって「勝ち組」「負け組」を分けるのか、その尺度が「お金」であることにしっくりいかなかったこともあるが、人間社会は2極化するほど単純ではないと思うからだ ▼その「勝ち組」の象徴とも言われたIT企業の社長が逮捕された。この社長、「金で買えないものはない」を持論にしていた。だが果たしてそうか。お金で買えないものはこの世にたくさんある ▼数年前に南で放映されたあるドラマにこんな場面が出てくる。初の女性企業家となる主人公が、何でもお金で解決しようとするある企業家に、「私にとって商売をしていくうえで財産は人間」と反発する。それを言われて企業家はどこかでひっかかる。もともとある出来事がきっかけでお金しか信じられなくなったが、本来はそういう人物ではなかったからだ。最後にその企業家はお金よりも人間関係を選ぶ ▼人間関係は金では買えない。前述のドラマにも、金のために友人まで裏切る悪役が登場する。だが、結局彼は逮捕され、無期懲役刑に処される。人間関係をおろそかにした者の末路を象徴的に描いている ▼もちろんお金は必要不可欠だが、人間関係を大切にしていれば、自然とお金もついてくる−それがドラマの女性主人公の哲学だった。逮捕された社長はそのへんをどう考えていたのか。彼の論理をあてはめれば、彼は「勝ち組」から「負け組」に転落したわけだが。今回の事件は、人間にとって本当に大切なものは何かをあらためて考えさせてくれる。(聖) [朝鮮新報 2006.1.24] |