舞踊家　任秋子さん

　舞踊生活６０周年、そして古希を迎え１４日、「任秋子民族舞踊団特別公演」を行った。

　１０歳のとき、朝鮮民族が生んだ「世紀の舞姫−崔承喜」に憧れ、その恩師である石井漠の門下生となり舞踊の道を志した。しかし、異国で生まれ育った「在日」というハンディは重く、土の匂いがする本物の朝鮮舞踊を求めるために手探りで孤独な道を歩んできた。

　１９６２年に金剛山歌劇団に入団し、６５年には、在日舞踊家初の朝鮮・功勲俳優、そして人民俳優の栄誉に輝いた。

　日本各地で５０００余回に及ぶ公演活動を行い、金剛山歌劇団を引退したあとも、より多くの人たちに朝鮮舞踊のすばらしさを伝ようと、「任秋子舞踊団」を結成。ますます情熱を燃やしながら第２の人生を歩んでいる。

　公演では、独舞「剣舞」を披露した。４０年前に初めて踊った踊りで最も好きな作品のうちの一つだという。

　「この踊りは私の人生そのもの。私の人生はいつもたたかいだったから。この年になってこれを踊るのは本当にきついけれど、最後まで倒れないで踊りぬいてみせる」と、古希を迎えた今でも現役として舞台に立つ熱い気持ちを語った。

　在日舞踊界の草分け的存在である任さんの渾身の舞に客席からは割れんばかりの拍手が起こった。

　任さんは、今までで一番幸せな舞台だったと喜びをかみしめた。

［朝鮮新報 2006.12.26］