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若きアーティストたち(40)

ダンス、ヨガ インストラクター・康聖華さん

「常に行動、常にチャレンジ」だと語る康さん

 都内を中心にダンスとヨガを教えている康聖華さん(31)は、現在300人にのぼる大勢の生徒をかかえる「売れっこ」インストラクターだ。しかし、キャリアはまだ2年と浅く、今まさにスタートラインを切って、エンジン全開といったところ。

 「体をもって人に教えることが好き」だという彼女は大学卒業後、朝鮮学校で教師を務めた。体育を中心に教え、体で表現することの楽しさや、何事も諦めずに最後まで挑むことの大切さ、そして「一つの事に一生懸命取り組めば必ずできる」ということを、生徒とともに本人自身も「学んだ」という。生徒たちのひたむきな姿に日々接するうちに、自身も「一心に打ち込める何か」を探すようになった。

 「ある日、ひらめいたんです。ダンスだって」

 初級部4年生から朝鮮舞踊をしていたが、ダンスを始めたのは教員1年目のとき。在日コリアンの新体操教師がダンスを教えに学校に来ていた。それから趣味でダンス教室に通うようになった。

 「思いたったら即行動」−康さんは、7年間の教師生活に終止符を打ってまもなく、ニューヨークへ単身飛び、ダンス留学した。「今しかないと思った。あっちで住むところも決まっていなかったし、英語なんて少しも話せなかった」。

人気のヨガレッスン(前列先頭が康さん)

 持ち前の明るさと、面倒見のよさ、そして物怖じしない度胸で留学先のダンス学校では、常に周囲から慕われる存在だった。ダンス学校の教師は、そのダンススキル、優れた統率力などを高く評価し、日本で活動する際、役立つようにと、異例の「推薦書」を書いてくれた。

 「在日コリアンっていろいろな意味で強いなって思った。本国で生まれ育っていない分、見えるものが多い。日本にいるとき以上に自分の存在に誇りを持てた」。ニューヨークで「何かをつかんで帰ってきた」ものの、現実は甘くなかった。「お金も仕事もなかった。海外でダンスを習ったとはいえ、派遣会社からくる単発の仕事しかなかった」。このままくすぶっていてはだめだと一念発起。自分のクラスを立ち上げる決心をした。「NY式ダンススタジオ」。ダンスとともに、ヨガとマッサージを組み合わせた康さんオリジナルのヨガマッサージを新たに創り出した。生徒は、小学生から80代の老人までと幅広い。

 今年2月、初めての発表会「GASSHOW(ガッショー)」を行った。ジャズやヒップホップ、朝鮮舞踊とさまざまなジャンルのダンスが合わさった「SHOW(ショー)」は、踊る人も見る人も一緒に楽しみ、大成功したという。

 「やればできる、人生は一度きり」と常に行動、常にチャレンジすることの重要さを強調する。

 「在日コリアンである私たちの生き方はマイナス志向ではダメ。在日であることをバネに常に前向きにどんどんアピールしたい」

 現在、「NY式ダンススタジオ」のインストラクターは彼女のみ。今後は、インストラクターコースを開設し、後任者を育て自分の「スタイル」を広めていきたいと意気込んでいる。(NY式ダンススタジオhttp://www.hit-heart.net/kan/)(呉陽希記者)

※1975年生まれ。東京第4初中、東京朝高、朝大師範教育学部体育科(当時)卒業。東京第4初中、東京第3初級で7年間教員をしたのち、ニューヨークへダンス留学。2004年、NY式ダンススタジオを開設。現在、都内を中心にダンス・ヨガインストラクターとして活躍。

[朝鮮新報 2006.8.30]