市民同士の連帯で平和を |
映像作家 加藤久美子さん 「靖国神社」問題を扱った韓日合作のドキュメンタリー映画「あんにょん・サヨナラ」が日本各地で自主上映されている。韓国の金兌鎰監督と共に、この作品の制作に携わった加藤久美子さんは1975年広島県生まれの映像作家だ。 「昨年1月、戦後60周年に際して日韓共同で何か映像作品を作れないかとの話があった。靖国のことをやりたいというのは金監督からの提案だった」が、加藤さん自身は当初難しいのではないかと思った。この問題に対する認識の差がありすぎることが主な要因。双方の観客が納得できる作品が作れるのかとの疑問もあった。だが、制作の過程で日韓の市民同士の連帯が強まるのを感じて、そんな心配は払拭されていった。 映画は、旧日本軍に徴用され戦死した父親の「靖国神社」合祀取り下げを求めて裁判を起こしている李熙子さんと、彼女を支える日本人古川雅基さんらの動きを中心に描いている。戦争被害者、靖国参拝に反対する人、賛成する人などさまざまな立場の人たちの証言が折々に挿入される。 「靖国問題は国内問題ではない。きちんと解決しなければ、本当の意味で戦後補償をしたことにはならない」と強調。それによって、将来の平和を市民同士が作っていくことが可能だということを訴えたいとも。金監督との共通の思いだ。 「対立と争いよ、サヨナラ。和解と未来よ、こんにちは」。タイトルに込めたこの思いを、多くの人に伝えていきたいと、日々上映活動に勤しんでいる。 「あんにょん・サヨナラ」上映委員会では全国で自主上映をしてくれる人、団体を募集している。イベントなどでの上映も歓迎。申し込み・問い合わせ=「あんにょん・サヨナラ」上映委員会(TEL&FAX 03・3403・1902、E-mail ann-sayo@hotmail.co.jp)。 [朝鮮新報 2006.3.8] |