日朝国民協会の講演会 「対話による問題解決を」 |
在日朝鮮人、団体への弾圧中止求める
日朝国交促進国民協会(国民協会、会長=村山富市元首相)が主催する講演会「核と拉致−今こそ日朝間の交渉を−」が15日、東京都千代田区の日本教育会館で行われ、約80人が参加した。 講演会ではまず、同協会の村山富市会長が主催者を代表してあいさつした。 村山氏は、再開される6者会談が、問題解決の方向に向かってほしいとの期待を表明。昨年9月に採択された共同声明がそのまま実現されれば事態はいい方向に進展するだろうと述べた。また、朝鮮の核保有に憂慮を示しながらも、6者会談での問題解決を望んだ。一方で安倍政権の対朝鮮政策について、強硬姿勢一点張りでは、平壌宣言を採択した小泉政権時のようにはいかないだろうと指摘。対話による問題解決を進めてほしいとしながら、(日本の)国民もそれを期待しているのではないかと述べた。 続いて、立教大学の李鍾元教授が「北朝鮮核実験と6者協議」のテーマで講演を行った。李氏は、1989年から現在にいたる朝鮮での核の製造や凍結などと関連した一連の流れと状況について説明した。 そのうえで、米国にとって最大の脅威は朝鮮の核の他国へのトランスファー(移転)だと指摘。今回の6者会談で核問題と関連した米国のアプローチは、94年の朝米枠組み合意で示された核関連施設の凍結とそれに対するエネルギー支援、そして金融制裁解除の形に尽きるだろうとの見解を示した。 東京大学の木宮正史助教授(同協会諮問委員)は、朝鮮の核の「脅威」に対する日韓の当事者意識が希薄だと指摘、問題解決に向けて両国が政策協調の可能性を模索するべきだと述べた。そして、対朝鮮政策で日本に残された選択肢は国交正常化および経済協力であると強調した。 和田春樹・東大名誉教授(同協会事務局長)は「拉致問題−解決への道」というテーマで講演をした。和田氏は、02年の小泉首相(当時)訪朝時に拉致問題が明らかになった以降の日本政府の対応を経過に沿って報告、安倍政権樹立後の拉致問題に対する取り組みについて解説した。現在、朝鮮との交渉は断絶状態にあり経済制裁さえ加えている状況だとして、問題解決は国交正常化に向けた対話と交渉の過程でなされるよう発想を転換しなければならないと述べた。さらに、在日朝鮮人と在日朝鮮人団体に対する弾圧はただちに中止すべきだと主張した。 津田塾大学の高崎宗司教授(同協会理事)も、平壌宣言の精神に戻るべきだと指摘。現在、拉致問題ばかりが取り上げられているが、経済や文化関係樹立の問題にもっと関心をむけるべきだと主張した。また、朝鮮に対する謝罪は道徳問題だと強調した。そして、その方法として強制連行者の遺骨や文化財の返還が考えられると話した。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2006.12.21] |