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〈論調〉 拉致放送命令に潜む政治的打算

 日本で新たに発足した政権の管義偉総務相が、NHKの橋本元一会長に短波ラジオ放送で拉致問題関連報道の比重を増やすことを命令したという。

 これに関連し現在、日本の政界と言論界で激しい反発が起こっている。

 11月9日、日本新聞労働組合連合はNHKに対する総務相の放送命令に関連し、「個別的で具体的な政策に対する放送命令は報道と言論、表現の自由を侵害する」という抗議声明を発表した。一方、NHKの日本放送労働組合も集会を開き、「個別項目の実施命令は権力の介入と受け止めざるをえない」とし、「断じて許さない」との見解を表明した。

 問題は、総務相なる者が直接出てNHKにああせよ、こうせよとさしでがましく言った本心がどこにあるのかということである。

 それは言うまでもなく、日本政府の追求する不純な政治目的に関わっている。

 拉致問題について言えば、それは朝鮮政府の人道的努力と誠意ある対応によってすでに解決済みの問題で、これ以上論議する一顧の価値もないものである。これに対する人々の関心も次第に薄れている。

 このことが現在、日本反動層にとって気にくわないのである。

 日本の現国家指導者らが自分の政治的人気を上げ、執権奪還に有利な条件を整えるのに拉致問題を利用してきたということは周知の事実である。彼らは政権を運営するうえでも同じ手法を使おうとしている。

 言い換えれば、拉致問題を極大化して執ように食い下がることにより、自分らの人気を上げ、政権に対する国民の不満を鎮めようと企んでいる。

 これとは別途に、日本の反動層が狙うもう一つの重要な目的がある。

 過去の清算は日本政府が抱えている重要な歴史的課題の一つである。

 とくに、朝鮮人に対する日本の強制連行、拉致犯罪は人類史にかつてなかった特大型反人倫犯罪行為として、国際社会の糾弾の対象となっている。

 拉致問題を執ようにけん伝することにより最大の拉致被害国であるわれわれを「加害者」に仕立て、加害者である自分らは「被害者」に変身しようとするところに日本反動層の政略的目的が潜んでいる。

 日本の反動層は、誰かの拉致問題についてうんぬんする前に、自らの強制連行、拉致犯罪を含む反人倫的犯罪行為に対して反省しなければならない。

 日本の反動層は、国際社会の厳しい視線が日本を注視しているということを肝に銘じ、一日も早く過去の清算に臨むべきである。(11月22日付民主朝鮮論評)

[朝鮮新報 2006.12.2]