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「外国人学校、民族学校の問題を考える有志の会」の質問書 「税法上の差別の撤回を」

 既報のように、外国人学校、民族学校に対する処遇において一部の差別や人権侵害が生じていることと関連し、「外国人学校、民族学校の問題を考える有志の会」が7日付けで財務省に公開質問書を提出した。質問書は、30日までに回答することを求めている。質問事項(全文)を紹介する。

指定寄付金について

 (所得税法第78条2項2号及び法人税法第37条4項2号関係)

 1 所得税法第78条2項2号及び法人税法第37条4項2号は、いわゆる「指定寄付金」の要件について、

 「民法第34条の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄付金のうち、次の要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したもの

 イ 広く一般に募集されること。

 ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること」と定めている。

 中華学校及び朝鮮学校を運営する各学校法人は、上記の「その他公益を目的とする事業を行う法人」にあたると考えられるが、どうか。

 2−1 (質問1について、あたるとすれば)

 法律上の要件を満たしているにもかかわらず、中華学校及び朝鮮学校の校舎改築費用などに対する寄付金を指定寄付金としていないのはなぜか。

 2−2 (質問1について、あたらないとすれば)

 (1)欧米系インターナショナルスクール及び一部のアジア系外国人学校(韓国学園等)については、指定寄付金制度の対象として認められているところ、これらの外国人学校について「その他公益を目的とする事業を行う法人」にあたるとしながら、中華学校、朝鮮学校については、「その他公益を目的とする事業を行う法人」にあたらないとするのはなぜか。

 (2)貴省は、同号の定める「公益」を、どのような概念として認識されているのか。

 3 所得税法第78条2項2号及び法人税法第37条4項2号の趣旨は、「民法第34条の規定により設立された法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄付金」で同号イ、ロの要件を満たすと認められるものについては、指定寄付金として指定する義務を財務大臣に課したものと理解するべきではないか。

 すなわち、「公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄付金」であるにもかかわらず、これを指定寄付金として指定しない裁量権は財務大臣に存しないのではないか。

 (「寄付金控除の対象となる寄付金又は法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に参入する寄付金を指定する件」(1965年4月30日大蔵省告示第154号)関係)

 4 同告示第2号は、指定寄付金の対象となる「学校」に、

 「小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、ろう学校、養護学校又は幼稚園の行う教育に相当する内容の教育を行う学校教育法第83条第1項に規定する各種学校でその運営が法令等に従って行われ、かつ、その教育を行うことについて相当の理由があるものと所轄庁(私立学校法第4条に規定する所轄庁をいう)が文部科学大臣と協議して認めるもののうち、その設置後相当の年数を経過しているもの」

 を含めている(なお、この場合、「所轄庁」とは都道府県知事を指す)。

 中華学校、朝鮮学校は、@小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、ろう学校、養護学校又は幼稚園の行う教育に相当する内容の教育を行う学校教育法第83条第1項に規定する各種学校であり、Aその運営が法令等に従って行われており、Bその教育を行うことについて相当の理由がある、と認められるのではないか。認められないとする場合には、上記のどの要件を欠くとされるのか。

 5 欧米系のインターナショナルスクール及び東京独逸学園など一部のインターナショナルスクールについては、指定寄付金制度の対象として認められているところ、これらの外国人学校について上記@、A、Bの要件を満たすとしながら、中華学校、朝鮮学校についてはこれを満たさないとしているのはなぜか。

 6 同告示2号は、上記Bにつき「所轄庁が文部科学大臣と協議して認めるもの」としているが、税制上の優遇措置をめぐる要件の判断を、財務大臣ではなく、所轄庁及び文部科学大臣に委ねた趣旨は何か。

 7 財務大臣が指定寄付金の要件を満たすと判断した寄付金について、所轄庁及び文部科学大臣が「その教育を行うことについて相当の理由がある」とは認めなかった場合、財務大臣として認めるよう要望することは行わないのか。かかる場合、財務大臣にはそのような要望を行う義務があるのではないか。また、所轄庁と文部科学大臣の判断が分かれた場合にはどうするのか。

特定公益増進法人について

 (所得税法第78条2項3号、法人税法第37条4項2号関係)

 8 所得税法78条2項3号、法人税法第37条4項2号は、以下のように定め、いわゆる特定公益増進法人への寄付金を、寄付金控除の対象とし、あるいは、損金に参入することを認めている。

 「別表第一第一号に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄付金」

 中華学校、朝鮮学校は、上記の「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人」にあたるのではないか。

 9 同号の趣旨は、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する」と認められる法人については、特定公益増進法人として定める義務を財務大臣に課したものと理解するべきではないか。すなわち、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する」法人を特定公益増進法人として定めない裁量権は財務大臣に存しないのではないか。

 (所得税法施行規則第40条の8第5項、法人税法施行規則第23条の2第5項及び2003年3月31日文部科学省告示第59号関係)

 10 所得税法施行規則第40条の8第5項、法人税法施行規則第23条の2第5項及びこれを受けた上記文部科学省告示は、以下のように定めている(かかる規定に基づき、すでに多数のインターナショナルスクールが特定公益増進法人としての認定を受けている)。

 所得税法施行規則第40条の8第5項、法人税法施行規則第23条の2第5項

 「初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設置された学校教育法第83条第1項に規定する各種学校であって、文部科学大臣が財務大臣と協議して定める基準に該当するもの」

 2003年3月31日文部科学省告示第59号

 「出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の一の表の外交若しくは公用の在留資格又は四の表の家族滞在の在留資格をもって在留する子女に対して教育を施すことを目的とし、かつ、その教育活動等について、スイス連邦ジュネーブ州に主たる事務所が所在する団体である国際バカロレア事務局、アメリカ合衆国カリフォルニア州に主たる事務所が所在する団体であるウエスタン・アソシエーション・オブ・スクールズ・アンドカレッジズ、同国コロラド州に主たる事務所が所在する団体であるアソシエーション・オブ・クリスチャン・スクールズ・インターナショナル又はグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国ハンプシャー州に主たる事務所が所在する団体であるヨーロピアン・カウンセル・オブ・インターナショナルスクール・スクールズの認定を受けていること」

 (1)中華学校、朝鮮学校は、所得税法施行規則第40条の8第5項、法人税法施行規則第23条の2第5項の定める「初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設置された…各種学校」にあたるのではないか。あたらないとされる場合には、その理由をご回答願いたい。

 (2)文部科学省告示59号は、特定公益増進法人の要件について、@「外交」「公用」「家族滞在」の在留資格をもって在留する子女に対して教育を施すことを目的とする学校法人、A欧米系の認定機関の認定を受けた学校法人に限るとしているが、かかる基準はいかなる理由により設けられたのか。

 (3)上記基準を定めるにあたって、財務大臣は、文部科学大臣といかなる協議を行ったのか。上記基準が定められたのは、財務大臣の意向によるものか、それとも文部科学大臣の意向によるものか。

 (4)所得税法施行規則第40条の8第5項、法人税法施行規則第23条の2第5項の趣旨は、「初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設置された学校教育法第83条第1項に規定する各種学校」については、原則として「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するもの」にあたると定めた点にあるのではないか。

 日本私立学校振興、共済事業団の受配者指定寄付金制度について

 11 1965年4月30日大蔵省告示第154号第2号の2は、「日本私立学校振興、共済事業団に対して支出された寄付金で、学校法人が設置する学校若しくは専修学校の教育に必要な費用若しくは基金に充てられるものの全額」について、寄付金控除の対象とし、あるいは、損金参入を認めている(いわゆる受配者指定寄付金制度)。

 (1)受配者指定寄付金制度の対象から、各種学校が除かれているのはなぜか。

 (2)かかる規定は、上記の指定寄付金制度及び特定公益増進法人制度において、小学校、中学校等の行う教育に相当する内容の教育を行う各種学校もしくは初等、中等教育を外国語により施す各種学校が対象とされていることと均衡を失するのではないか。

[朝鮮新報 2006.6.17]