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そこが知りたいQ&A−一般教書演説、朝鮮に関する言及は?

1カ所のみ、政策に変化なし 「圧制の拠点」発言をほうふつ

 ブッシュ米大統領の今年の一般教書演説は、「外交安保面では昨年と同じ基調の繰り返しが目立った」(朝日新聞2日付)と指摘されている。朝鮮問題についてはどうか。Q&Aで見た。

 Q 1月31日のブッシュ米大統領の一般教書演説では朝鮮問題についてどう述べているのか。

 A 朝鮮に関する言及は、「世界の半分の人々が民主国家に住んでいるが、残り半分も忘れていない。シリア、ビルマ(ミャンマー)、ジンバブエ、北朝鮮、イランなどの国々だ」と決めつけた形で語った部分のみだ。2002年にイラク、イランとともに朝鮮を「悪の枢軸」と誹謗し、大量破壊兵器を持てないようにすると豪語したのとは対照的とも言えるが、ここで挙がった国々はシリアを除きライス国務長官が「圧制の拠点」としたところ。米国の政策に何ら変化がないことを示すものだ。

 一方、中東問題に関しては「ハマスの指導者は、イスラエル国家を承認し、武装解除し、テロを拒絶したうえで、永続的な和平に向けて協力しなければならない」と指摘。パレスチナでの選挙でハマスが勝利を収めたことを「認めざるをえない」ニュアンスととれる。

 米ワシントン・ポスト紙2日付は、「02年に北を『悪の枢軸』の一つとして、名指しで大量破壊兵器を持てないようにするとの意志を示したのとは違い、ひどい変化だ」として、「海外において米国の利益を攻撃的に防御するうえで後退はないと警告したが、言葉と行動が異なる」と対イラン、イラク、朝鮮政策を批判≠オた。逆に考えれば、ブッシュ政権が何ら政策を示せないでいるともいえる。実際、一般教書演説でもアジア太平洋地域全体を盛り込んだ包括的な政策は提案していない。

 Q 対イラン政策も批判しているのか。

 A そうだ。昨年の演説でブッシュ大統領は「(イラン国民が)自由のために立ち上がる時、米国は連帯する」と語ったが、逆にイラン国民は対米「強硬派」のアフマディネジャド大統領を選出した。その下で、米国からみるかぎり「核危機」は悪化。国際原子力機関(IAEA)が国連安保理に付託するまでに事態は深刻化している。

 Q ジョン・ネグロポンテ国家情報長官が最近、「北の核」について発言したそうだが。

 A 国家情報長官はCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)など15の情報機関を束ねる役割を果たし、ネグロポンテ氏は初代長官。彼は2日、上院情報委員会に出席し、「北の核兵器保有の主張は事実のようだ」と発言した。ブッシュ大統領の演説から2日後のことだ。この証言にあるとおり朝鮮の核保有が「事実のよう」だとの認識を米政府が持っているとすれば、ブッシュ大統領の演説で何ら政策を出しようがないと見る向きもある。

 Q だが、6者会談再開も目途がたたないままだ。朝鮮半島の核問題はどうなるのか。

 A 再三指摘されているとおり、昨年の第4回6者会談第2ラウンドで共同声明が発表された。朝鮮半島非核化に向けて大きな一歩を記したことは誰もが認めるところだ。あとは声明で確認された内容を具体的に履行するための方法を話し合うだけだ。第5回以降はそのための会談になるはずだった。これが話し合いによって核問題を解決する唯一の方法であることは今も変わりない。

 にもかかわらず、「偽ドル」「金融制裁」などの問題によって会談がこう着化した。この問題を話し合うために朝鮮側は朝米直接対話を提案したが、米国はこれを拒否し、現在に至っている。朝鮮側は、金融制裁が解除されないかぎり6者会談再開はないと再三言明しているが、ブッシュ政権が立場を変更するような兆候は微塵も見られない。つい最近もブッシュ大統領は「彼らが不法活動をしないように他国と協力もしている」と語った。一般教書演説でも「世界における圧制の終結を目指す」(1月26日の記者会見)と述べたが、これはライス国務長官の「圧制の拠点」発言を思い出させる。

 Q 演説に対する朝鮮側の反応は?

 A 今のところ論評などは出されていない。ただ労働新聞7日付は、「核先制攻撃を狙った危険な軍事行動」と題した論評で、「米国の対朝鮮圧殺策動が強化されるかぎり自衛的国防力をより確固と固めていく」と主張している。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.2.10]