朝鮮人強制連行調査団2006全国協議会(西日本) 遺骨問題、あらためて強調 |
人道的に未来志向で
朝鮮人強制連行真相調査団2006年全国協議会(西日本)が1月28日、大阪市天王寺区の統国寺で行われた。参加した各地調査団の代表、研究者、活動家らは、遺骨問題を中心とした活動について報告し、今年の活動について意見交換した。 協議会では、大阪、愛知、山口、福岡、兵庫、岐阜、京都、奈良、岡山の調査団、市民団体代表らが報告を行った。 調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長は、「大事なのは遺族を探すこと。遺骨問題を解決しなければ朝鮮と日本の真の友好、平和はない」と強調し遺骨問題を中心にして取り組むことを提案。@人道的立場で、A現実的な対応で、B未来志向で取り組むことが大切だと述べた。 集会では、強制動員真相究明ネットワーク共同代表の上杉聡氏(日本の戦争責任資料センター事務局長)が来ひんあいさつ。留学同東海、兵庫、大阪の若い世代の発言もあった。協議会に先立ち、参加者たちは統国寺の納骨堂を回り、引き取り手のない同胞の遺骨の経緯について説明を受け追悼した。 各地の調査活動報告、遺骨問題「ゼロ、不足回答」続出 朝鮮人強制連行真相調査団2006年全国協議会(西日本、1月28日)では、各地調査団、市民団体代表らが昨年の活動内容や今後の課題について報告した。 大阪調査団の梁賢哲・朝鮮人側事務局長(総連大阪府本部同胞生活部副部長)は、1945年の大阪大空襲で犠牲となった同胞についての調査報告を行った。崇禅寺(東淀川区)にある戦争犠牲者慰霊塔には513人の犠牲者の名前が記されているが、そのうち約80人が朝鮮名だという。また、大阪市の公文図書館にある「大阪市戦災仮埋葬者名簿」には、約2100人の空襲犠牲者の情報があり、うち約50人が朝鮮名。遺骨は大阪市設服部霊園や崇禅寺に安置されているという。大阪調査団の執拗な調査要請に応じて府が提示した。
山口調査団の金静媛・朝鮮人側事務局長(総連山口県本部国際部長)は、日本の民間団体、南朝鮮政府の調査委員会、総連、民団の4者が共同で追悼会とシンポジウム、要請活動を行った経験について述べ、マスコミなどでも大きく扱われたことで遺骨問題の重要性を広く伝えることができたと報告した。また、歴史や強制連行の事実を正しく知り伝えることが民族教育などに対する理解につながると強調した。 福岡の社会運動家・「東録氏は、筑豊炭田などでの強制連行の事実や朝鮮人無縁仏の納骨堂である無窮花堂の設立経緯について説明。市民団体の働きかけによって飯塚市が強制連行犠牲者の埋葬記録を、山田市が戸籍異動の受付簿を開示したと報告した。今後、ほかの自治体にも広めると同時に、開示された資料から犠牲者の情報確認や遺族探しを行っていくという。 来ひんあいさつをした強制動員真相究明ネットワーク共同代表の上杉聡氏(日本の戦争責任資料センター事務局長)は、同ネットワークの設立経緯について述べ、埋火葬認可証の調査などを中心的に行っていると報告。「調査団とも協力し一体でも多くの遺骨をみつけたい」と意欲を語った。 協議会では留学同東海、兵庫、大阪の代表らが発言。調査団を見習って日本の学生、青年たちとともに日本の過去清算の問題、歴史認識の共有に取り組み、朝・日友好親善につなげていきたいと述べた。 協議会では、遺骨調査において西日本でも「ゼロ回答」や自治体の調査不備があったことが報告された。 昨年、兵庫県は日本政府に対して61人分の情報を提供したが、それは調査団が事前に提示した2カ所に安置されている遺骨の合計数だ。兵庫調査団が寺院を対象に昨年行ったはがきによるアンケート調査では、新たに3寺院で4体がみつかっている。つまり、県独自の調査がまったくなされていないということだ。 ある参加者の話では、政府関係者が「数万カ所の寺院に情報提供を依頼すると1000万円以上かかるが、特別な予算枠がないのでできない」と話していたという。一民間団体の兵庫調査団が10数万円かけて1091カ所の寺院にハガキを送付したことにくらべて、あまりに不誠実だ。 福岡県田川市は市の職員2人が納骨堂から朝鮮人の遺骨をみつけだした。山口県下では専門部署と情報受付窓口を設置し、市民らに情報提供を募った。各地で再調査の流れが起きており、協力的な自治体も増えている。日本政府の真しな対応が今、求められている。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2006.1.31] |