強制連行調査団全国協議会(東日本) 各地報告、今年の活動討議、遺骨は遺族のもの、遺族のもとへ |
朝鮮人強制連行真相調査団の2006年全国協議会(東日本)が21日、東京都東村山市の国平寺で行われた(西日本は28日、大阪市天王寺区の統国寺)。東日本地域の調査団の代表らと研究者、学生らが参加し、各地の調査報告を行い、今年の活動について話し合った。 北海道から愛知まで
はじめに、調査団朝鮮人側団長の高徳羽・総連中央副議長兼同胞生活局長があいさつした。高徳羽団長は、各地での活動や国際赤十字への要請活動について言及し、北南朝鮮と日本で遺骨問題が注目されるなか、より幅広く運動を展開することの重要性などについて強調した。 協議会では、北海道、秋田、福島、群馬、埼玉、愛知、東京、栃木、神奈川の代表らが各地での遺骨問題などへの取り組みと行政への要請活動、今後の展望などについて述べた。 「強制連行、強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」の殿平善彦共同代表(浄土真宗本願寺派一乗寺住職)は「遺骨は遺族のもの」という認識が遺骨問題においての基本だと強調した。また、北海道の西本願寺(浄土真宗本願寺派)札幌別院に安置されている101柱のうち、24柱について遺族が判明し、猿払村や赤平など道内各地でも次々に遺骨がみつかっている事実に言及し、今後も発掘調査などを続けていくと述べた。 愛知調査団の金順愛・朝鮮人側事務局長( 総連愛知県本部同胞生活部長)は、名古屋市の東山霊安殿に安置されていた同胞77人の遺骨が無断で粉砕処理されていたことが判明したと報告。南朝鮮政府に照会したところそのうち9人の遺族がみつかった。金順愛事務局長は「遺族が今も家族の行方を探して苦しんでいることを、遺族からの手紙を読んであらためて気づかされた」と語った。 遺族呼び追悼会など 協議会では、遺骨問題を中心とした今年の活動内容について討議された。 活動案を提起した調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長は、過去に長崎や三重、神奈川で十分な遺族探しが行われないまま遺骨が南に送られた実例を挙げ、遺族の気持ちを理解して対応しなければならないと強調。また、日本政府や地方自治体の調査のずさんさを指摘しながら、正確な調査を行うよう求めていくことを呼びかけた。 福島や東京からは、行政との連携や窓口の設置の重要性が指摘された。 調査団の今年の主な活動内容としては▼各地の 総連、民団、日本市民らが力を合わせて、遺族参加のもと追悼会やシンポジウム、要請活動を行い、▼「埋火葬許可証」の公開を全国的に求め、▼若い世代にまで運動の幅を広げていくことなどが提案された。 若い世代にまで幅広く
日本政府が昨年、朝鮮半島出身者の遺骨調査に初めて取り組むなか、今年の協議会は同胞の遺骨が多数安置されている国平寺で開催された。 同寺には、日本の太平洋戦争中に強制連行され戦地で精神病を患ったあげく、約55年間、家族に知らされることなく日本の病院で孤独に暮らし、2000年に亡くなった金百植さんの遺骨が預けられた。同寺の尹碧巖住職や同胞、日本人の尽力によって遺族がみつかり04年に返還された。 協議会に先だって、尹住職が遺骨返還までの経緯について説明し、納骨堂内部を案内した。同寺には今も身寄りのない無縁仏102人分の遺骨が安置されている。昨年夏、朝鮮大学校の学生らが102人の名簿を作成し南朝鮮政府に照会を依頼した。 協議会で発言した朝鮮大学校の高卓君さん(文学歴史学部2年)は「同胞の遺骨を一つでも多く遺族のもとへ返してあげたい」と思いを語った。 昨年11月に立ち上げられた情報ネットワーク「Eスペース−歴史から未来へ−」を代表し、発言した留学同中央国際部長の金涼子さんは「自分たちの過去の問題を知らない在日朝鮮人3世、4世が増えており、同世代の日本人のなかにはまちがった歴史認識を持った人も多い」と指摘。まずはホームページを開設して歴史や情報を共有し、在日朝鮮青年だけでなく日本の青年にまでネットワークを広げていきたいと活動内容について述べた。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2006.1.24] |