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平安南道文徳郡 世界環境基金などの協力で渡り鳥保護区拡張

 朝鮮で渡り鳥保護のための対策が講じられる中で、平安南道文徳郡が国家的関心を注ぐべき重要スポットとして浮上している。

 平安南道と平安北道の境界に沿って流れながら平安南道文徳郡一帯で朝蘚西海に流れる清川江下流は渡り鳥保護の見地から極めて注目される場所である。

 ここには「文徳郡渡り鳥保護区」がある。この保護区は、世界に8つある移動性鳥類の主要移動経路の一つにあたる。同地区はアジア−オーストラリア地域移動経路上に置かれている主要中継地や棲息地となる。

 アジア−オーストラリア地域移動経路上には世界的に全滅の危機に瀕している鳥の中で、28種を含むさまざまな渡り鳥が飛来する。その数は5000万羽以上に達するという。

 最近の調査データによると「文徳郡渡り鳥保護区」とその一帯は、全滅の危機に置かれる種鳥類の中で12種が定期的に観察されている。また、クロツラヘラサギ、サカツラガン、タンチョウ、オジロアオアシシギ、ヘラシギ、カラシラサギ、マガン、トモエガモ、アカハジラ、カンムリツル、マナヅル、ズグロカモメのほかにもコウノトリ、カタジロワシ、ヒクイナ、コジュリンも非定期的に観察されている。

 サカツラガン(アヒル−ガン科の冬鳥、学名Cygnopsis cygnoid)は全世界で生息数の20%、タンチョウは約14%、トモエガモは約10%、マナヅルは約7%、カンムリヅルは27%が、この地域を移行途中の中継地として利用している。

 カラシラサギと、朝鮮半島だけが繁殖地として知られているクロツラヘラサギ(platalea minor)は、平安北道沖合の無人島で繁殖して、この地域をえさ場としている。

 東アジア−オーストラリア移動経路に沿って移動する鳥は、一つは鴨緑江河口を通して中国東北地方の黒龍江省扎龍(ジャロン)保護区方向に、もう一つは中国とロシアの国境にあるシンカイ(露=ハンカ)保護区を通じてロシア極東やシベリア一帯に北上する。

 このようなことから「文徳郡渡り鳥保護区」とその一帯の生態環境を保護することは、一国の範囲を超えて国際的にも意義のある事業だといえる。

 朝鮮は「生物多様性協約」の締約国だ。朝鮮に対する世界環境基金(GEF)と国連開発計画(UNDP)の協力計画「朝鮮民主主義人民共和国西海沿岸生物多様性管理」において、文徳郡「渡り鳥保護区」とその一帯の生物多様性の保護管理は活動の重要な柱となっている。

 この計画に従い、「文徳郡渡り鳥保護区」の拡張が来年初頭に予定されている。

 一方、朝鮮各地ではツル棲息地保護と復旧事業が活気を帯びている。

 ツルの保護は世界三大自然生態系の一つである湿地生態系の保護と直接連関している。

 朝鮮では江原道安辺郡の安辺野原、黄海南道龍淵郡の大同湾の麓、黄海南道甕津郡南海里、白川郡域久道里などがツルの越冬場所になっている。

 人口密度の高い国ではツル棲息地が農業、水産業など人々の経済活動地域と重なるため、身体の大きなツルのような鳥類保護問題が困難をかかえている。

 朝鮮ではこのような問題を解消するために地域密着型の保護区管理を実施している。

 保護区では野生動物保護と地域住民の生産活動の調和を保障する。ここで住民が野生動物保護に対すると認識を深めて、保護活動に積極的に参加するようにするのが重要な課題として提起されている。

 朝鮮の鳥類学者たちは1、2カ所に密集していたツルの棲息地を広い範囲へ拡大する活動を推し進めている。具体的には江原道鉄原と、鉄原から直線距離で100キロ内にある安辺野原が対象地となっている。(平壌支局)

[朝鮮新報 2006.11.13]