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〈06上半期北南関係診断〉 第2の「6.15」と「6.25」が混在

根本問題解決が発展のカギ

 北南双方は、現在を「6.15統一時代」と呼び、とくに、一気に関係が発展した昨年6月からを「第2の6.15」と呼んでいる。しかし一方で北は、こんにち「第2の6.25戦争局面」(祖国平和統一委員会8月3日付声明など)が造成されていると、情勢を悪化させる米国と南朝鮮当局を激しく非難している。今の北南関係はひと言で、第2の「6.15」と「6.25」が混在する複雑さだ。今年8月までの流れをふり返りながら、今後の課題などを探った。

民間と経済は交流拡大

 昨年は常設の統一運動連帯機構として「6.15共同宣言実践民族共同委員会」が誕生した。一段階高い水準で統一運動を繰り広げられる土台が構築された昨年の流れを受け継ぎ、今年も民間団体の交流は、その幅を広げながら活発に進められた。労働者(3、5月)、農民(4月)、女性(3月)、青年学生(3月)、宗教団体(4月)が各部門別に会議、交流会などを行った。

 また、慶尚南道と北が農業分野での交流協力に合意(1月)し、昨年合意した京畿道も今年新たに交流協力に合意(3月)して代表団を派遣するなど、道単位での交流も活発化した。

 6月には、昨年に続き、北南海外の民間代表団と北南当局代表団が参加する「6.15共同宣言発表6周年記念民族統一大祝典」が光州で盛大に行われ、全同胞の統一意志を内外に示した。

 さらに、鼎村天然黒鉛鉱山落成式(4月、黄海南道延安郡鼎村里)により、鉱業分野での北南協力が初めて始動し、開城工業地区の労働者が8000人を超えるなど、経済交流も拡大発展の兆しが見えた。

 しかし当局の関係は最初からぎくしゃくしていた。

 今年初となる第18回北南閣僚級会談は当初、3月末の開催を予定していたが、米・南合同軍事演習実施にともない、4月末にずれ込んだ。どうにか共同報道文発表にこぎつけたものの、次の第19回会談(7月中旬、釜山)は決裂。7月5日に北がミサイル発射訓練を行った直後ということもあったが、南がミサイル、核問題など閣僚級会談管轄外の問題ばかりを並べたため、次回会談の日程も決められないまま終了した。

 また、3月と5月に開かれた第3回、第4回北南将官級軍事会談では、海上の軍事境界線といえる「北方限界線」問題をめぐって対立、決裂した。双方軍事当局の軍事的保障措置が取られていないことにより、5月25日に予定されていた北南鉄道試験運行が見送りとなった。6月末で調整されていた金大中前大統領の訪北も延期された。

 ついには人道問題にまで悪影響を与えた。7月19日北側は第19回閣僚級会談で、人道的事業として行ってきたコメと肥料の提供を南側が一方的に拒否、人道問題を不純な目的に悪用したと指摘しながら、北南間に人道問題が事実上存在しなくなり、離散家族の面会を行えないと通告した。金剛山面会所建設も中断している。

 離散家族の面会は、6.15時代を象徴するものだといえる。離散家族の面会は6.15以前には1回しか行われなかったが、以後は直接面会が14回、画像による面会が4回を数える。04年7月、南当局が金日成主席逝去10周年弔問団の訪北を阻止して関係が悪化した際にも、閣僚級会談を延期に追い込んだ今年3月の米、南軍事演習実施の際にも、北側は人道問題の離散家族面会には手をつけなかった。それだけ北も人道問題を重視してきたからだ。

 こうしてみると、今回の人道問題での関係悪化は相当深刻な事態だと言える。

双方に大きな認識のズレ

 6.15民族統一大会(光州)の演説で安京浩・祖国平和統一委員会書記局長は、現在の北南関係を「とても不安定かつ初歩的な状態の共存関係」と位置付け、「統一関係に転換する最初の入り口にも至っていない」と指摘した。現在の北南関係を一定評価している南側では、この発言が大きな波紋を起こした。

 双方には、統一問題や情勢に対する認識に大きな隔たりがある。

 第18回北南閣僚級会談で、南は北のミサイル発射について、「朝鮮半島の軍事的緊張を激化させた原因」と非難した。一方、北は「軍事的脅威と戦争の危険がどこから来ているのかもわからずに」(北側代表団声明)と、情勢緊張の原因が米国との見解を示した。

 南は、「太陽政策」「包容政策」といった言葉に象徴されるように、経済支援を通じて北の政治的、軍事的譲歩を引き出そうとするスタンスを取っている。しかし、南が変わらなければ統一問題は前進しないことも事実だ。

 南社会全般をみると、北と米国に対する見方が大きく変わったとはいえ、南当局はいまだに、統一の対象である北に反対する軍事演習を行っている。北側に「南当局はまだわれわれを敵視している」と警戒されても反論できない。

 一方北は、対決時代の遺物をなくすなど、政治問題が解決されなければ、経済交流を含めいつ過去の原点に戻るかわからないという立場だ。そのため昨年9月の閣僚級会談から、対決の制度的障壁の除去という北南関係発展における「根本問題」解決を一貫して訴えている。北側関係者らは、根本問題の解決なしに北南間の飛躍的発展はありえないと一様に語っている。

 北南関係は、北を敵視する米国の干渉と南当局の背信的行為で中断と再開を繰り返してきた。まさにいまは第2の「6.15」と「6.25」が混在している。もし今後、対話が始まったとしても、根本問題の解決がないかぎり中断と再開は繰り返されてしまうだろう。(姜イルク記者) 

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北南主要日誌

[朝鮮新報 2006.8.25]