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そこが知りたいQ&A−釜山閣僚級会談なぜ決裂?

軍事的緊張 原因と解決法に見解の差

 【平壌発=李相英記者】11日から釜山で開かれていた第19回北南閣僚級会談が、何の成果も得られず当初の日程を一日繰り上げ13日に終了した。今回の会談は、今月5日の北側のミサイル発射以後、初めて開催される北南対話とあって、その結果に内外の注目が集まった。しかし、会談の合意事項が反映される共同報道文は発表されず次回の日程も決まらぬまま、事実上の物別れに終わった。会談終了後発表された北側代表団の声明は、「決裂の責任は全的に南側にある」とし、南の対話姿勢を激しく非難した。会談はなぜ成果なく終わったのか。双方の主張と対立点を通じて浮かび上がった決裂の原因、今後の北南関係の行方などについて見た。

 Q 情勢が非常に緊迫するなかでの会談だった。

 A 今回の会談は北の「ミサイル問題」を巡って、国連安保理を舞台に関係各国の駆け引きが続き、日本では「先制攻撃発言」まで飛び出すなど、朝鮮半島情勢の危機の度数が高まるなか開催された。会談は難航が予想されたが、逆に言えば、対決の制度的障壁の除去という北南関係発展における「根本問題」の解決に道筋をつけることで、北と南の共同歩調を実現させ、状況打開の突破口を切り開く可能性を秘めた場でもあった。

 19回を数える閣僚級会談の歴史上、共同報道文が発表されずに終わった例は、01年11月の第6回会談に続き二度目。日程を繰り上げての終了は初めてだ。

 Q 会談で双方は何を主張したのか。

 A 全体会議で北側は、今回の会談について、「急変する内外情勢と北南関係発展の見地から見て大変重要な時期に開かれた」と意義を付与したうえで、双方が実質的な関係発展のための「現実的かつ画期的な方途」について真しに討議すべきだと主張した。このような立場から、◆相手側の体制と尊厳を象徴する聖地と名所、参観地などに対する自由な訪問◆外勢との合同軍事演習の中止◆「保安法」の廃止◆離散家族再会事業など人道主義的問題の解決等を提案した。

 一方南側は、北側のミサイル発射に「遺憾」の意を表し、「追加発射」の自制と「6者会談早期復帰」を求めた。米国の軍事的圧力政策に目をつぶる一方、北のミサイル発射のみを問題にし、北南間の懸案問題については言及を避けた。

 Q 対立点はどこにあったのか。

 A 釜山会談において表出した北南間の対立は、朝鮮半島における軍事的緊張の高まりの原因およびその解決法に関する双方の見解の差に起因していると見ることができる。

 南側の論理は、北側のミサイル発射が朝鮮半島の軍事的緊張を激化させた原因だから非難するというものだ。米国の軍事的脅威に対処する「自衛的国防力強化のための正常な軍事訓練の一環」(6日、外務省スポークスマン)とする北側が、南側の主張と要求を受け入れるはずがないことは明白だった。

 会談を前に南側は、北側のミサイル発射と6者会談復帰問題にのみ焦点を絞って議論を進める方針を再三にわたって公言してきた。会談が始まってからも、北側が提起した「北南関係の発展において解決が切実に求められている基本問題」に関する対話には一切応じようとしなかった。

 北側には南側の姿勢が、「軍事的脅威と戦争の危険がどこから来ているのかもわからずに、他人の言葉の受け売りで会談に人為的な難関を作り出す」(北側代表団声明)ものとして映った。北側としては、対話の相手が話し合いの回路を閉ざした状態で、会談場に留まり続ける意義をこれ以上見出せなくなったという判断が働いた。「閣僚級会談は決して軍事会談ではなく、ましてや6者会談でもない」という北側の主張は、釜山会談における対立点を的確に表している

 Q 北南関係は今後どう動くのか。

 A 当分の間北南関係の冷却化は避けられないとする悲観的な見方が大勢を占めている。

 今月下旬の北南スポーツ会談の開催も不透明な状況だ。

 釜山会談を通じて、情勢へのアプローチに関する北南双方の見解の相違があらためて浮き彫りになった。朝鮮半島の緊張が高まり、北南関係にも否定的な影響を及ぼしている今こそ、北と南が歩調を合わせ情勢に主導的に対処することが、朝鮮半島情勢全般にプラスに作用することは明らかだ。

 南にとっても、ミサイル発射の責任を追及するとして反目と対立を煽っても得るものは何もない。「根本問題」の解決へ向けた南側の果敢な決断が望まれている。 

[朝鮮新報 2006.7.21]