〈今月の金正日総書記−4月−〉 朝米関係緊張に対応、動静確認 全て軍視察 |
金正日総書記の4月の活動は軍視察に集中していた。実際に動静が確認された9回のすべてが軍視察だった。 常に防衛力強化に力 「米帝侵略者に対する燃えるような敵がい心を抱いて敵の頭上に百発百中の命中弾を飛ばす訓練を見て、中隊のすべての軍人がいかなる強敵もあえて侵せないようにしっかり準備した一騎当千の勇士に成長したことに満足の意を表し、中隊の戦闘力をいっそう強化するうえで提起される課題を示した」
金正日総書記の朝鮮人民軍第821軍部隊管下砲兵中隊視察について朝鮮中央通信報道(4月5日発)はこう伝えた。 この報道からもわかるとおり、総書記の軍視察は米国との対立関係が深まっていることが背景にある。 「9.19共同声明」が発表されたにもかかわらず、6者会談は昨年11月以来開かれていない。このこう着状態の打開を試みようと4月、東京で開催された民間の学術会議に金桂官外務次官が参加。同席したヒル米国務次官補との接触に注目が集まったが、朝米接触は不発に終わった。ブッシュ米政権は核問題にとどまらず、人権問題を取り上げて朝鮮に対する圧力を強めている。 総書記の動静が軍視察に集中しているのは、こうした米国との緊張状態に対応してつねに防衛力強化に力を入れていることを米国にアピールしたものといえる。 空軍、海軍部隊の視察でもその性格は顕著だ。 空軍第814軍部隊の視察では、「飛行士がつねに即応態勢を維持し、敵が襲ってくればいつでも勇敢に立ち向かってたたかえるよう万端の準備を整えたことに満足の意を表し」た。 海軍第406軍部隊を視察した際には、「部隊の軍人が米帝侵略者のいかなる不意の侵攻もそのつど撃破、粉砕できるよう軍港を難攻不落の要塞に変えた」ことに満足の意を表した。 9回の視察のうち3回が前線に位置する部隊であることも興味深い。 一方、空軍第814軍部隊視察では新たに建設された軍民発電所を見て回った。人民軍第549軍部隊が建設した精米所を見て回ったときには、「人民の食生活向上に寄与する現代的な精米所を自力で建設したことに満足の意を表した」(朝鮮中央通信報道)という。 国の防衛も社会主義経済建設も人民軍が中心となって推し進める先軍政治を誇示する意味があろう。 義挙入北故人に花輪 そのほかの動きとしては、朝鮮人民軍将官だった故表武源氏の霊前に花輪を送った点が注目される。朝鮮国防委員会と人民武力部共同名義による訃報によると、表氏は朝鮮解放後、義挙入北した人物。人民軍の指揮メンバーとして朝鮮戦争にも参戦した。享年81歳。 最高人民会議第11期第4回会議の財政報告で明らかにされたとおり、今年も在日同胞子女の教育事業を支援するための教育援助費と奨学金が送られた。152回目となる今回の額は2億3450万円。累計では457億6822万3000円になる。(文聖姫記者) 金正日総書記の月間動静を毎月1回掲載します。 [朝鮮新報 2006.5.27] |