top_rogo.gif (16396 bytes)

〈月間平壌レポート〉 「4月の春の祭典」でわいた平壌

 40余カ国から600余人の外国人、同胞芸術団が参加して盛大に行われた「4月の春親善芸術祭典」(10〜18日)。金日成主席の生誕(4月15日)を記念して1982年から毎年行われており、今回で24回目。朝鮮中央テレビは、開幕から閉幕まで市内9つの劇場で行われた公演や参加者同士の交流、参観の模様など祭典の一部始終を放映し、国内の新聞も大々的に報じた。参加者も4月の平壌を満喫していた。

表情を崩す男性アナ

祭典最終日に参加者全員が参加して盛大に行われた「親善会」ダンスパティー

 金剛山歌劇団の歌手黄炳帥さん(27)は、開幕式などを例にあげながら、以前に比べソフトなイメージを演出していたと振り返る。今まで4.25文化会館で行われてきた開幕式は、今年初めて平壌大劇場で行われた。舞台に設けられていた幹部席はなくなり、朝鮮中央テレビのアナウンサーが進行役を務めた。

 「今回の祭典には、顔なじみになった方々が多数参加されています。小笠原美都子さん、お久しぶりです」

 テレビ画面では決して表情を崩さない男性アナウンサーが笑みを浮かべ、手を振りながら、参加者を紹介していた。

 開幕式では、「4月の春親善芸術祭典」の歴史をふり返る10分程度の記録映画も上映された。金日成主席と金正日総書記がスクリーンに映し出されるたび、客席からは拍手とともに「ブラボー」という歓声と口笛が鳴り響いた。一般国内行事では絶対にありえないが、外国人、海外同胞らが主役として参加する祭典ならではの光景だ。

 閉幕式では、表彰のためステージに上がったロシアの代表が突然発言したいと言い出し、急きょ通訳が駆けつけるハプニングも。これで進行は一時中断。分刻みでスケジュールが組まれている朝鮮では珍しい。

 ロシア代表は、「温かく迎えてくれた朝鮮の人々に心から感謝する」と発言していた。

目的は親善関係の発展

 今年も世界から多くの一流芸術団が訪れた。

 ロシアからは、ロシア国内はもちろん世界的にも有名なモスクワ国立アカデミー交響楽団、チャイコフスキー名称モスクワ国立音楽大学芸術団、モスクワ国立アカデミー・フィルハーモニー名俳優団、ロシアサーカス団などが参加した。

 朝鮮との親善関係を発展させる目的で、ロシアが意図的に高レベルの国立芸術団体を派遣したことはまちがいない。

 中国も同様に重量級の芸術団を送ってきた。江蘇省芸術団は、国内トップのコンクール受賞者らをメンバーに抱える芸術団だ。伝統的な親善関係を輝かせるために、公演演目の選定には神経を使ったという。金日成主席が1991年に訪中した際に披露した舞踊、金正日総書記が今年1月訪中した時の中国民族楽器演奏を披露した。中国からは同時に、政府文化代表団が派遣された。訪朝期間には朝中政府間の06〜08年度文化交流計画書が調印(10日)された。

 一方、西側で初めて外交関係を樹立したイタリアからは、サンタ・チェチリア音楽大学芸術団が訪れた。ちなみに、開閉幕式が行われた平壌大劇場とその周辺に夜景用の電灯を取り付けたのはイタリアの技術者だ。4月上旬から朝鮮の関係者とともに大がかりな共同作業が行われていた。朝鮮の関係者は責任感ある彼らの仕事ぶりに感嘆していた。

周辺から孤立する日本

 祭典では世界各国、とくに中国、ロシアとの友好親善関係が大きくアピールされた。

 また、祭典閉幕から3日後の21日からは、平壌で第18回北南閣僚級会談が行われた。北南関係を「わが民族同士」の理念に沿ううさらに高い段階へと発展させるため積極的に努力することにし、最終日の24日には8項目から成る共同報道文を発表した。

 朝鮮と周辺諸国、北と南との連携が深まる一方、朝・日関係は改善どころか悪化するばかりだ。日本側は、過去の清算はおろか、人道問題である「万景峰92」号の新潟港入港さえもさまざまな口実を設けて阻止しようとしている。

 中日、南・日関係も、靖国神社参拝、歴史教科書、独島問題などでギクシャクしている。

 4月の平壌から見えてくるものは、米国一辺倒で周辺諸国からますます孤立していく日本の姿だった。(姜イルク記者=平壌)

[朝鮮新報 2006.4.27]