第3回将官級会談で北側が主張 西海に統一朝鮮の領海起算線を |
民族の共栄、共利図る原則で 第3回北南将官級軍事会談が2、3の両日、板門店北側地域の統一閣で開かれた。朝鮮人民軍の金英哲中将を団長とする北側代表団と国防部の韓民九少将を首席代表とする南側代表団が参加した。2004年6月の第2回会談以来、1年9カ月ぶりの開催となったが、海上の軍事境界線といえる「北方限界線」問題をめぐって対立し何の合意もなく終わった。ただ、「(今回の会談で)上程された議題に関する問題を次回会談で引き続き討議する」(朝鮮中央通信)ことで双方の見解は一致しており、会談が決裂したわけではない。今後、実務協議などを通じて日程などを詰めていくことになる。 【解説】会談の議題は、朝鮮西海上での衝突を防止し、共同漁労を実現するための軍事的対策に関する問題だった。 北側はこの問題を、「民族の共栄、共利を図る原則に基づいて解決すべき」だとの立場を明らかにしたうえで、▼西海で統一朝鮮の領海起算線を確定し、それに基づいて新しい西海領海権を宣布する▼共同漁労水域設定問題と西海上軍事境界線確定問題を同時に平行させて討議する−ことなどを提起した。 これに対し南側は、共同漁労水域だけを設定しようとして、「北方限界線」も堅持しようと主張した。 北側は、冷戦の遺物として衝突を起こしかねない北南双方のすべての主張を互いに放棄しようとの立場から、統一朝鮮の領海起算線を確定しようとしたが、南側はあくまで「北方限界線」にこだわった。 南側首席代表の韓少将も会談後のブリーフィングで、「われわれは次回会談でこのような問題を解決しようと提案した」と、「北方限界線」の再設定問題が合意に至らなかった原因であることを示唆した。 北側が統一朝鮮の領海起算線を設定しようと主張する背景には6.15北南共同宣言がある。「6.15時代の統一大行進に歩調を合わせて、双方が軍事的対決の張本人としてではなく、民族的団結と統一を主導する主体として各自の責任と義務を果たそう」(北側団長の主張)というわけだ。民族の利益、統一朝鮮の利益を共同で守るためにも「北方限界線」の再設定が必要になってくる、というのが北側の指摘だ。 一方、今回の会談冒頭で北側は@米、南合同軍事演習の展開計画A米国の拡散防止構想(PSI)への参加表明B駐南米軍の「戦略的柔軟性」合意−などを、「6.15統一時代に逆行する反民族的、反統一的行為」だと非難した。これらの動きが軍事力で朝鮮の制度を抹殺しようとする米国の戦略実現に直接的に加担するものである点を強調するとともに、合同軍事演習をはじめとする軍事的対決を中止するか、米国と共に引き続き緊張激化の道に進むか、との問いに答えるよう迫った。 南側は「防御」的性格であると主張して軍事演習の中止を回避した。 今回の会談で双方は、互いの共通点と相違点について理解し合った。 共通点を見出して相違点を克服し、解決策を模索することが合意を遂げるための根本保証になる。(文聖姫記者) 朝鮮中央通信報道(要旨) 会談で双方は、朝鮮西海上での衝突を防止し、共同漁労を実現するための軍事的対策に関する問題を議題に提起し、討議を行った。 2日目の会談で北側団長は、会談過程に生じた双方の共通点と相違点を再度具体的に分析して言及した。 共通点は、双方が朝鮮西海上で二度と衝突が発生しないよう共同で努力すべきであり、共存、共栄を図る原則に基づいて共同漁労を実現して第三国漁船の不法漁労を防ぎ、民族の利益を守るべきだということで見解の一致をみたこと。相違点については次のように述べた。 第1に、北側は西海上で衝突が再発しかねない根源をなくそうとした反面、南側はいくつかの信頼保障対策だけを講じようと主張した。 第2に、北側は衝突を引き起こしたかつての双方の全主張を白紙に戻し、新しい土台のうえで新たな解決方途を見出そうとした反面、南側はさまざまな面で不公正な古い主張に固執した。とくに南側は、停戦協定や国際法的要求から見て何の妥当性もない「北方限界線」を堅持しようと画策した。 第3に、北側は問題討議方式において共同漁労水域設定問題と西海上軍事境界線確定問題を同時に並行させて討議しようとした反面、南側は共同漁労水域だけを設定しようと主張した。 第4に、北側は米国との合同軍事演習をはじめすべての戦争演習を中止して朝鮮半島の軍事的対決状態を解消しようとする反面、南側は「防御」的な性格などをうんぬんし軍事訓練の中止を回避しようとした。 韓民九少将ブリーフィング (板門店)統一閣で二日間にわたって第3回南北将官級軍事会談を開催した。わが方(南側)は基本的に、南北間の軍事的緊張緩和と信頼構築が漸進的に増進しなければならないとの前提に立って、西海海上の軍事的衝突防止、鉄道および軍事道路の通行に関する軍事的合意保障、次回将官級会談、第2回長官会談、共同漁労区域設定などを解決しようと提案した。 北側は西海上衝突の根源的問題が解決されなければならないという基本的立場のもと、西海岸境界線の再設定問題が解決されてこそ共同漁労の区域設定問題も解決できると主張した。われわれは次回会談でこのような問題を解決しようと提起した。 今回の会談を通じて、互いの立場をよく把握でき認識を共にした部分もあったし、異なる見解を見せた部分もあった。1回の協議で終わる問題ではない。今後、持続的に解決していきたい。 [朝鮮新報 2006.3.10] |