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「戦略的柔軟性」米韓合意 朝鮮半島の平和に脅威、東北アジア地域紛争に巻き込まれる危険

 さる1月19日に行われた第1回長官級戦略対話で採択された共同声明を通じて、韓米双方は駐韓米軍の戦略的柔軟性の必要性について合意したが、この合意をめぐって市民団体を中心に南朝鮮内部で抗議の声が広がっている。祖国平和統一委員会(祖平統)もスポークスマン談話を通じて非難した。問題点を探った。

6者共同声明に違反

 「韓国は同盟国として米国の世界軍事戦略の変化の論理を十分に理解し、駐韓米軍の戦略的柔軟性の必要性を尊重する」(第1回韓米長官級戦略対話で発表された共同声明)

 戦略的柔軟性とは、「世界のいかなる地域で紛争が起きても、米軍が特定地域に固定されることなく、機動性と迅速性を持って柔軟に介入できるようにするべきだ」との論理。ブッシュ政権が強く推し進めているもので、軍事覇権主義強化を狙って推進してきた戦略だ。

 では、この戦略的柔軟性の合意は何が問題なのか。

 まず、朝鮮半島が前哨基地として東北アジアの地域紛争に巻き込まれる可能性が高まるという点だ。「これによって朝鮮半島を含めた東北アジアの平和が深刻な脅威を受けることになる」と、参与連帯、統一連帯などの南の市民団体は非難の声を高めている。

 平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は、「作戦計画5026をはじめとする対北侵略計画と軍事介入を正当化させるために推進するのが戦略的柔軟性」だとして、「駐韓米軍の戦略的柔軟性のターゲットが北であることが明らかになっている」と主張した。

 東北アジアにおける紛争地域として憂慮されるのは朝鮮半島と台湾。戦略的柔軟性を適用すれば万が一台湾で紛争が起きた場合にも、駐韓米軍が介入することになり、南が自動的に紛争に巻き込まれる。

 「対中軍事封鎖と対北先制軍事行動を円滑にする一方、有事の際に駐韓米軍の介入を可能にする」(南の市民社会団体30余人による記者会見文)ものだ。

 「南朝鮮は米国の北侵戦争基地としてだけでなく、アジア侵略のための前哨基地、兵たん基地に転落した」(祖平統スポークスマン談話)という指摘もある。

 対中、対北軍事的圧力強化を意図している点から、こう着状態にある6者会談への影響も懸念される。

 しかも、「米国は核または通常兵器で朝鮮を攻撃したり侵攻する意思がないことを確言した」という「9.19共同声明」にも反する。

 共同声明では、6者が東北アジアで恒久的な平和と安定を実現するために共同で努力することが明記されたが、戦略的柔軟性の適用は「朝鮮半島の非核化と東北アジアの多者安保体制構築の努力に大きな障害となる」(平和を作る女性の会)。

平澤基地拡張に反対

 南朝鮮当局は「東北アジア地域紛争に在韓米軍が介入することはない」というが、果たしてそうか。

 「開かれたウリ党」所属の崔載千議員は党のホームページに寄せたコラムの中で、「戦略的柔軟性に対する米国の立場をそのまま受け入れた場合、朝鮮半島を取り巻く外交、安保環境は、ブッシュ政権の一極主義に基づく東北アジア戦略の下部システムに編入される」と非難した。

 そのうえで、共同声明を読むかぎり@駐韓米軍が海外に派遣されることに反対できないA駐韓米軍が東北アジアの地域紛争に介入した場合にもそれを防げない、などとして、当局の見解を否定した。

 1月23日、「平和統一を開く人々」などの市民団体は国防部前で集会を開き、戦略的柔軟性合意を非難した。

 参加者らは、「戦略的柔軟性を阻止するためには、国防改革2020と平澤米軍基地拡張を阻止し、駐韓米軍の役割を変更、拡大できる物質的土台を崩さねばならない」として、今年の最初の戦略的課題として平澤米軍基地拡張阻止をあげた。

PSI参加、撤回を要求

 一方、南朝鮮当局が「拡散に対する安全保障構想(PSI)」への部分参加を昨年決めたことが1月24日に明らかになった。参与連帯は25日に声明を発表し、「北に狙いを定めたものであるだけに、こう着状態にある6者会談再開や南北関係改善の努力に深刻な問題を招く」として、撤回を求めた。

 PSIとは、大量破壊兵器、ミサイルおよび関連物資の拡散阻止を目的に、国際法、各国国内法の範囲内で参加国が共同で取りうる移転、輸送の阻止のための措置を検討、実践するもの。ブッシュ政権は「拡散懸念国」の対象として朝鮮、イランなどを名指ししている。

 参与連帯の声明は、「戦略的柔軟性合意とPSI参加は朝鮮半島の平和とは相反するもの」だと指摘した。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.2.3]