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〈60周年を迎えた朝鮮学校の現場から〉 東京第9初級 創立60周年記念式典

還暦迎え沿革と現状を整理 卒業生、同胞、日本市民ら500余人で賑わう

 東京第9初級創立60周年記念式典が11月19日に行われ、卒業生、同胞、日本人士ら500余人で会場は終始にぎわった。

 一日中雨に見舞われたものの、朝青、教員らが校舎から校門に張ったブルーシートのおかげで、参加者は雨に濡れずの式典参加となった。

 この日、式典に続き生徒と同胞らによる公演、宴会が行われ、「東京朝鮮第9初級学校同窓会」が結成された。

立派なコリアンに

同胞らは生徒らの公演に熱い拍手を送った(写真は農楽「60周年おめでとう」)

 受付を済ませた参加者には、同校創立60周年記念誌「創立60周年を迎えた阿佐ヶ谷の朝鮮学校」が手渡された。

 なかでも「私の教育方針は『あいや』」という、金亀鶴校長の教育指針をうたった文章がとりわけ目を引く。いわく「あせらず」「急がず」「休まず」学校で「こども(アイ)」たちと「出会い(あい)」、彼らに「愛(あい)」を与え、愛することを教えながら成長させることだ。

 記念誌はこのほかにも、「写真で綴る60年」「私と第9朝鮮学校」「第9朝鮮学校ってどんな学校?」「日本の友だちとの交流」「学校を支える人々」「日本の人々が見た第9朝鮮学校」、座談会「60歳を迎えた第9朝鮮学校と地域コミュニティー」など、その内容は濃い。

 末尾では、学校施設の改善、教材購入などに充てるために開設された恒久的な「がんばれ!! 第9朝鮮」(問い合わせは同校教育会)への寄金を地域同胞、卒業生、日本人士らに呼びかけている。

「子どもを守る」

高学年舞踊部による群舞「ランドセルの中に夢をつめこんで」

 東京第9初級は「同胞地域コミュニティーの中心」であると指摘する実行委員会の金奉吉委員長(教育会会長、43、30期卒)。金委員長は、学父母、地域同胞らとともに広範な日本人士らとの近くて濃密な関係を築いていることを特徴として挙げる。

 それを如実に語ってくれる人物が式典会場を訪れた。野口泰三さん(61、杉並区阿佐ヶ谷北1丁目町会副会長)がその人だ。遠距離を通学する生徒らのなかには野口さんの自宅前を通り学校に向かう生徒もいる。約20年間、在日同胞と関ってきた野口さんが生徒たちの公演を見ながら語った。「『なにかあったとき』に親が駆けつけるまで、私たち町会の住民らで子どもたちを守ってあげたい」

 野口さんは、「和して同ぜず」(主体的に人とつき合うべきであるということ)というキーワードを挙げ、地域社会における日朝のさらなる発展的関係構築を展望している。(東)

[朝鮮新報 2006.12.22]