〈教室で〉 これまでをふり返って 来年も期待を |
次世代育てる名物先生に大きな反響
日本各地の朝鮮学校で日々奮闘している初、中、高級部の教員たちをシリーズで紹介する「教室で」。昨年夏のスタートから約1年半の間に、北海道、千葉、東京、下関、西播、横浜、埼玉、西東京、京都の13人を取材した。 朝鮮学校では2003年に初級部、04年に中級部、昨年高級部で新しい教科書が採用された。多くの授業は子どもたちの知的好奇心をくすぐりながら、考える力を伸ばし、民族意識を高めるよう工夫されている。 読者からの声にも励まされた。子育て世代のみならず、教育関係者や、ハラボジ、ハルモニ世代まで幅広い同胞たちの民族教育への関心の高さがうかがわれる。 東京都東大和市在住の60代女性は、「横浜の音楽の先生の記事はおもしろかった。ウリハッキョにもあんな先生がいるんだね。孫が学校に行くときはあんな先生に学ばせたい」と話し、東京都板橋区の60代男性は、「初級部1年生の担任を取り上げた記事が若いオンマたちの間で話題になっていた。子育て世代の間で話は広がり、子どもを朝鮮学校に入れるか、日本の学校に入れるか悩んでいた親が、朝鮮学校に入れる決意を固めたそうだ」とうれしそうに話した。 連載は現場の教員たちにとっても良い「シゲキ」になっているようだ。西東京第2初中音楽教師の鄭成姫先生(29)は、「取材を受けてあらためて教員生活をふり返り、民族教育事業にまい進する決意を固めた」と語った。また、取材先では「次は○○先生をお願いします」との熱烈な推薦を受けることもある。 紹介した先生たちは20代から60代までと幅広い。民族教育事業に情熱をささげ、授業研究に熱心に取り組む姿勢に年齢の差は感じられない。 北海道初中高高級部社会科担当の金有燮先生(33)は、授業内容と今の朝鮮新報および日本の新聞を照らし合わせて、社会と歴史を立体的に考察する必要性を生徒とともに考え、千葉初中・鄭桂順先生(国語、62)や、東京第5初中・金聖蘭先生(美術、45)は、作文や美術作品を通して生徒たちの内面世界と向き合っている。 また、子どもたちがゲーム感覚で楽しめる斬新な授業を行っている西播初中の許鍾萬先生(28)は、電子メールを通じて約1万人の日本学校の先生たちと交流を深めている。許先生が担任したクラスの児童全員が「逆上がり」ができるようになるまでの過程をまとめた学級通信の最後には、「日本全国2万3420校の小学校、27万4062クラスの中で、逆上がり全員達成したクラスは西播2年生を含めて4クラス」との報告が記されており、そこには日本の学校の教員からの「おそるべき2年生ですね。おめでとうございます」「ふつうの根性じゃできないですよ」とのコメントも掲載されている。 朝鮮学校教員たちの中央教育研究大会が年に1回開かれる中、朝大はじめ、各地朝鮮学校教師たちとの連携を深める取り組みも進められている。埼玉初中理科教師の朴洋子先生(47)の話によると、全国の初、中、高級部理科教師たちのネットワークを通じて、電子メールなどで随時連絡を取り合うことにより、地方の教師や若い教師などが、授業に関する悩みを1人で抱え込まないようサポート体制を整えているほか、実験指導書、教授案などをネット上にアップして、それらを複数の教員たちがアドバイスすることによってより充実させる取り組みも行われているという。 連載は来年も続けていくが、各地の「教室で」の風景を若い記者らと共にいきいきと伝えていきたい。(金潤順記者) [朝鮮新報 2006.12.15] |