〈60周年を迎えた朝鮮学校の現場から〉 明石初級 創立60周年記念式典 |
「4.24教育闘争」精神で未来へ 明石初級の創立60周年記念式典(連合同窓会、愛校節も同時開催)が行われた12日、朝方は寒空で曇っていたが、午前10時の開始直後から、きらびやかな陽光が燦々と降り注ぎはじめた。式典に参加した日本人士、同胞ら650余人は、1969年の現校舎落成以降、生徒数が平行線をたどる中で「還暦」を迎えた同校と、「4.24教育闘争」精神で民族の灯火を固守してきた同胞たちに敬意を表していた。 優越性「伝えたい」
現校舎が落成して、初の卒業生である教育会の金孝会長(48、23期、明石初級創立60周年記念事業実行委員会事務局長)は、「生徒数が少ないなか、学父母をはじめとする同胞たちのカンパなど支援によって、今日まで存在してきた」としみじみ語る。 「明石朝鮮初級学校創立60周年記念誌」の編集後記で「明石初級は明石同胞たちの大切な宝物」だと綴った教育会の「栄寿副会長(38、同実行委員会委員)。日本語を織り交ぜた理由について、民族教育の優越性を内外の人士らに広く伝えたかったと話す。 同実行委員会発行の記念誌は、明石初級を「児童全員が兄弟、姉妹のように和やかで仲が良い学校」と記している。 また、「民族教育が総連同胞だけの財産でなく、在日同胞全体、民族全体の財産であり、日本社会、地域の財産でもあるとの観点から、このたびの記念行事を通じ、民族融和と団結、朝・日親善を大きく前進させる機会にする」などと指摘した。 式典が終わるころ、48期の権一生さん(23)は「明石から優秀な人材が多く輩出されるよう、朝青活動を活発にしていきたい」と胸を張り、千虎一校長は在日同胞社会でしっかりと生きていける生徒をこれからも育てていきたいと、揺るぎない表情で語った。 「喜怒哀楽」の60年
この日、初めて同校を訪れたという神戸新聞の新人記者は、「朝鮮語がこんなにも飛び交っているとは思わなかったのでとても新鮮。ステージ上でも生徒らが『学校はすばらしい』という風な歌を歌う。そんな文化がすごい」と驚いていた(神戸新聞は明石初級の教育理念を支持し広く宣伝している)。 藤田華城さん(71)は18年間(週に1回)、同校で生徒に書の心を教えてきた。今回、60周年への想いを作品に込め、なぜそれを書いたのかという理由を添付するよう生徒らに課題を出したという。 帰り際、校門一帯にその作品が展示されていた。「60年間、学校でうれしかったことや楽しかったこと、そして悲しかったことや腹が立ったことがあったと思います。そしてこれからもそういうことが自分にも起こると思うからです」−「理由」をこう書いた金知華さん(初6)の作品は、「喜怒哀楽」という4文字だった。(東) [朝鮮新報 2006.11.24] |