尼崎東初級新校舎建設20周年記念 「アンニョン・フェスティバル」 |
数万人行き交う駅前で 民族教育アピール 尼崎東朝鮮初級学校新校舎建設20周年記念「アンニョン・フェスティバル」が10月22日、兵庫県尼崎市の阪神尼崎駅前広場(中央公園)で、同胞や日本市民の見守る中、盛大に行われた。 「愛校節を外で」
今回のイベントは、尼崎東初級が今年、園田朝鮮初級学校と立花朝鮮初級学校を統合し金楽寺町に新校舎を建設して20年を迎え、また中等教育実施60周年を迎える年に、民族教育のすばらしさを内外にアピールすることにより民族教育事業への理解と声援をあおぎ、より良い教育環境を整えようという思いから、毎年行っている愛校節を校外で行おうと企画された。 教育会、アボジ会、オモニ会の役員たちは、20周年を記念した公開授業やチャリティーコンペなど関連行事を成功させてきた。今回も並々ならぬ決意をもって準備を進めてきた。 当日の天候は晴れ。鄭奈美氏の司会のもと、午前11時から開会式が行われた。主催者を代表しあいさつした玄勇哲校長は、同校の歩みを解説し、ここ数年間に親交を深めた尼崎青年会議所や多くの近隣小学校との定期交流会など対外事業について紹介するとともに、これからも民族教育に対して多大な声援を送ってほしいと訴えた。
白井文・尼崎市長の祝電紹介に続き、舞台では同校の生徒、園児たちによる記念公演が披露された。また金楽寺小学校6年生による「よさこいソーラン」、太鼓集団「鼓情炎」、アルトサックスとキーボードの「Rhubarb」、崔淑美さんのエレクトーン、オモニたちのチャンゴ演奏、「武芸団」の中国武術演舞など多彩な公演が観衆を魅了した。 とくに、10月に開催された兵庫のじぎく国体開会式にも出演した神戸朝鮮高級学校舞踊部の重舞と兵庫朝鮮歌舞団の華麗な演目に、観衆からは惜しみない拍手が送られた。 「コリアンフードフェア」と銘打って舞台を囲んだ売店には、焼肉丼やピビンバ、チヂミが並んだ。中でも、ハルモニたちが材料の仕入れから味付けまですべて担当した朝鮮惣菜コーナーは大好評だった。オモニ会とアボジ会を中心に女性同盟、商工会、朝青も販売員として駆けつけ、休む間もなく料理や接客に追われていた。また贈答品コーナーや目玉商品コーナーには多くの人が並び大盛況だった。 「今こそ団結を」
そんな中、総連分会役員たちは周辺の警備に目を光らせた。この日の警備には特に神経をとがらせねばならなかった。2000年10月に同じ場所で「朝・日友好ワンハートフェスティバル」を行った経験がある分、準備が大変なのはもちろんだが、「北南共同宣言」が発表された時期とは比べようもないほど現情勢が緊迫していたからだ。学父母の心配度も増すばかりだった。 事実10月9日、朝鮮の核実験実施直後から右翼勢力らによる脅迫事件が全国的に起き、同校でも集団登下校を実施中でもあり、事務局会議では子どもたちの安全を保障できるのかが討議され、中止も考えたほどだった。 しかし、父兄たちは「厳しい今だからこそ同胞の団結が必要だ」と立ち上がり、「1時間でもいいから売店に立ってほしい」「しょう油でもお酢でもいいから協力を」と訴え続け、イベント準備に最後のスパートをかけた。このような状況で迎えた当日だけに緊張のなか、みなが「警備員」としての自覚をもったのも当然だった。朝青員らは前日から警備に立った。 朝鮮民謡で踊りの輪 準備から行事運営、後片付けまで関係者の尽力によりイベントは大成功を収めた。この日に先立ち同校オモニ会をはじめ阪神間の多くの同胞たちが「こんな時期に駅前でイベントを組む心意気に感動した」と賛助金を送ってくれたり野菜を分けてくれた人、米を送ってくれた人など多くの人から応援を受けた。 参加したある同胞ハルモニは「本当にウリハッキョのアボジ、オモニたちはえらい。いろいろ苦労はあるやろうけど、これだけの力があるのを見て心強いしうれしい。天気も晴れてほんまによかった」とイベント成功を祝い、会場のみんなの気持ちを代弁してくれた。 この日会場には地域同胞をはじめ、吉本誠県議、日・朝友好尼崎市議会議員連盟会長の小柳久嗣市議、同副会長のあぐる和美市議、前尼崎市議会議長の谷川正秀市議がお祝いに駆けつけた。イベントの最後には兵庫朝鮮歌舞団の軽快な民謡メドレーに合わせて踊りの輪が広がった。 一日に数万人が利用する阪神尼崎駅前という有利な条件もあり、1万人を超える人でにぎわった「アンニョンフェスティバル」は、民族教育の発展と朝・日友好親善の輪を今後、より広げていく大きな契機になった。【尼崎東分局】 [朝鮮新報 2006.11.2] |