〈60周年を迎えた朝鮮学校の現場から〉 西東京第1初中 「還暦」、門出祝う「環−アプロ」 |
民族教育の実り「大豊作」迎える
西東京朝鮮第1初中級学校創立60周年記念祝典が9月23日、同校運動場で行われた。 祝典のテーマは「環−アプロ(前に)」。同校の「還暦」と、新しい出発の門出を祝おうと、1200余人の同胞、卒業生、在学生が集まった。 慎基成校長は記念式典で立川、府中、調布、二宮、羽村、八王子、三鷹の国語講習所で始まった民族教育は現在2400人を超える同校卒業生を輩出、各分野で活躍していると報告し、「1世から2世、3世へと受け継がれた愛族、愛国、愛校の精神は月日が流れても4世、5世へと引き継がれている」と話した。 そして、われらの未来である子どもたちを民族性あふれる有能な人材に育て、温かくて豊かな同胞社会をともに築き上げていこうと結んだ。 喜び、情熱を表現
記念公演は2部に分かれ、在校生、卒業生、同胞ら各階層からの出演者が舞台に上がり、合唱、舞踊、民族楽器の演奏などを披露した。 「民族芸術学校」を誇るだけの多彩な演目が続き、会場は創立60周年を喜ぶ同胞たちの熱気に包まれた。 それでも、創立を喜ぶ参加者たちの気持ちは収まらず、席を立ち、手に手を取り合うと一斉に踊り出した。 「この光景をこの子にも見せておきたい」と、幼い子どもを肩に輪に加わる父親の姿もあった。 記念公演の中でも一段、反響が大きかったのは「マンプンニョン(大豊作)」だった。 「民族教育の実りが豊作を迎えたんだ」「喜びと情熱の表現だ」と出演者たちは胸を張った。同胞、卒業生、在校生らが一丸となって、力を合わせて作り上げられた舞台は、まさに地域の同胞社会の縮図であった。 ウリハッキョが一番 創立60周年をいっそう輝かそうと実行委員会では航空写真の撮影、記念DVDを制作、30〜40代の卒業生たちは「冷暖房導入推進委員会」を結成し、学校に冷暖房を完備した。彼らの熱意の根底には愛校精神と「ここが自分たちの拠点である」という覚悟にも似た自負がある。 同校卒業生の金成哲さん(金剛山歌劇団団員)は、「民族教育なくして豊かな同胞社会はない」、呉保南さん(朝青、学生)は、「学校は私の宝物」と言う。 同校で10数年教壇に立ち、尽力してきた金永根さんは、「食べることさえままならないなかでも、すべてを学校のために捧げてきたのは、民族教育がわれわらの生命線だからだ」と語り、「だからこそ守り続けていかなければいけない」と切実に述べた。 その声に応えるように舞台に上がった生徒たちは、「ハラボジ、ハルモニが作ってくれて、アボジ、オモニが守ってくれるウリハッキョが一番です。民族教育の未来は私たちに任せてください」と元気よく話していた。(鄭尚丘記者) [朝鮮新報 2006.10.13] |