滋賀 「みんな集まれ! ウリハッキョ マダン」 「マダン」に広がる大きな勇気 |
滋賀朝鮮初級学校で8月27日、「みんな集まれ! ウリハッキョ マダン」が開催された。今回の「マダン(広場)」は、現在の滋賀初級学校の状況を踏まえ、学校を支援するとともに、さまざまな違いを持った人々がウリハッキョに集まって、つながっていくことを目的としている。会場のグラウンドには約300人もの学父母、日本市民、ニューカマー、関係者らが集い、大きな「マダン」が作られた。 「やっとできた」
正午、軽快なチャンゴとケンガリの音色がオープニングを告げる。チャンゴとケンガリを手にリズムに乗りグラウンドを駆けたのは「朝鮮文化を考える会チング」のメンバー。彼らはみな、日本人である。自前の民族衣装に身を包んだ代表の高野真知子さんは「できそうでできないことがやっとできた」とはにかんだ。 「滋賀でも『マダン』をやりたかった」 彼女は「マダン」開催を呼びかけた一人である。「共生、共存のためにはつながることが大事。チャンゴを通して共生の道を実現したい」と彼女は話す。 「マダン」の開催は、5月に同校で行われた民族教育の場の保証を目指す交流会「滋賀朝鮮初級学校がんばろう会」で、参加者から声が上がったのがきっかけだ。 滋賀県で「マダン」が開かれるのは初めてのことであり、日本の市民団体が母体となり行われる大規模な学校行事としても過去に類はない。「マダン実行委員会」には「在日外国人教育を考える会・滋賀」「滋賀県教職員組合」「セパドフリーネットワーク」「チング」「アボジ会」「オモニ会」「NPO法人滋賀コリアン生活サポートセンター・デイサービスけなり」「ハムケモイジャ(在日外国人保護者会)」らが名を連ねる。 多種多様な会場
オープニングに続き、舞台では朝・日の教員による合同司会のもと、同校生徒の公演、津軽三味線、サムルノリ、和太鼓など、多種多様、「多文化共生」を象徴する演目が上がった。実行委員は「どの演目も単独でコンサートを開ける水準」と太鼓判を押す。 屋台にはチヂミ、どて煮、焼きそば、沖縄の名産品などが並び、どれも目移りするものばかり。中でも「オモニ会」の冷やしうどんとチヂミが好評で完売一番乗りだった。 さらにアートバルーン(アボジ会)、チョゴリの折り紙(オモニ会)、ポジャギ(チャララクラブ)のコーナーが脇を固め「マダン」を華やかに彩った。 一石投じる「セパド」 今回の「マダン」、舞台、屋台でひときわ目立っていたのが若い世代の活躍だ。 松下真矢さん(22)、山崎正也さん(22)、吉田奈津希さん(20)らがそうだ。彼らは「差別は許せない」「アイデンティティーを尊重したい」「寂しい思いをさせたくない」と話し「『マダン』に参加して本当に楽しい」と口をそろえる。 彼らは、いじめ、部落問題など活動のきっかけは違えど、高校1年の時に「セパド」(新しい波)に出会ったことに共通点を持つ。その「セパド」の中心には徳永真一教員(野洲高校)がいる。 徳永教員は「ハートでつながりたい。抑圧されてきた子どもたちを救いたい。違いを豊かさにしたい」と語り、自身の活動の原点を「差別を無視する社会に対しての怒り、むかつき」と説明した。 大きなジャンプに 「マダン」はお楽しみ抽選会、朝鮮民謡メドレーをバックに、参加者による「オッケチュム」でフィナーレを迎えた。 「オモニ会」の梁京玉会長は「たくさんの支持賛同者に会えてうれしい気持ちでいっぱい。オモニたちに勇気を与えてくれた『マダン』になった」と成功の喜びを噛み締めていた。 尹日和校長は「共生、共存という共通したテーマのもと、ウリハッキョに集えたことに大きな意義を感じる。日本の市民自らの、ウリハッキョを守り発展させていこうという気持ちを大切に受け止めたい」と話した。 徳永教員は「5月の交流会が『ホップ』なら今回は『ステップ』。来年には大きな『ジャンプ』を見たい」と力強く語った。 小さな力であってもやれることを一つひとつ見つけ出したい−そんな思いが大きな「マダン」を築いていく。(鄭尚丘記者) [朝鮮新報 2006.9.2] |