〈朝鮮大学校創立50周年記念事業〉 朝鮮大学校同窓会新会長 朴忠佑さんに聞く |
「次代を担う若者たちにより良い教育環境を」
異国の地で半世紀におよぶ長い期間、民族教育の最高学府として輝かしい歴史を刻んできた朝鮮大学校(=張炳泰学長、東京都小平市)が今年4月、創立50年の節目を迎えた。朝鮮大学校はこれまで約1万4000人の卒業生たちを世に送り出した。 5月26日、 東京都内のホテルで第7回朝鮮大学校同窓会総会が開かれ、新会長に、創立50周年記念事業実行委員会委員長を務める朴忠佑さん(56、政経14期)が選ばれた。 朴さんは、「同窓会とは本来、それほどしっかりした組織体ではない」と指摘しながらも、「今日、同胞社会の至る所に朝大卒業生たちがおり、在日朝鮮人運動の中枢で卒業生たちが活躍していることから、朝大50周年の節目の年に、朝大の未来と、在日同胞社会の未来を見越して、朝大同窓会の社会的地位とその役割を高めることが要求されている」と強調した。 朝大同窓会(1985年9月15日結成)は、愛族愛国の建学精神に基づき、祖国統一と民族の隆盛繁栄、在日同胞社会の発展のため積極的に取り組み、卒業生間の交流と親ぼくを深め、母校を愛する運動を力強く進めていくことを目的としている。 朴さんは、母校の創立50周年を卒業生たちの力で輝かせ、次代を担う若者たちにその思いを伝えたいと考えている。
朴さんの話によると、記念事業推進のため、卒業生および学父母、同胞たちに愛校基金を呼びかけ、集まった基金によって図書館の全面的なリニューアル、研究棟の冷暖房、視聴覚装置設置、寄宿舎の大規模リフォーム、記念イベントなどを行うという。 また、記念行事としては、11月4日に大学創立50周年記念大会、学術シンポジウム「21世紀の民族教育の現況と課題」、在学生と卒業生たちによる芸術公演、記念パーティーが開かれ、5日には記念祭典が催される。ほかにも、統一時代、国際化時代を生きる大学生たちの学術および文化、体育イベント、国際シンポジウム「アジアの渡り鳥の保護」、同胞社会で活躍する卒業生たちの連続特別講演、日本人を対象とした公開講座と市民講座(9月開設)などが予定されている。 「現在は、各学部、学級、地域ごとに活発な募金運動が展開されている。夏休みにはリニューアル工事に取り掛かれるよう、多くの人たちの協力が必要だ」 取材中、朴さんの事務所に、同級生から朴さんの労をねぎらい、朝大50周年記念事業に協力するという内容のファクスが届いた。大学時代の懐かしい思い出もつづられており、文面を読み進む朴さんの目にふと、涙が浮かんでいるようにも見えた。 「各地の同窓生からたくさんの手紙が寄せられている。中にはさまざまな事情から組織と距離を置いて暮らしている人もいるが、朝大同窓会の呼びかけに快く応じてくれ、大学時代を懐かしく振り返り、厳しい経済状況の中でもできるかぎりの協力をしてくれている。在日朝鮮人社会において総連組織が縦のラインなら、朝大同窓会は横のつながり。約20年間、朝大同窓会が地道な活動をたゆまなく続けてきたからこそ、創立50周年の節目の年に、卒業生たちの力を持って後輩たちにより良い教育環境を与え、朝大の未来について語り合うことができる」 母校の創立50周年を機に、朝大同窓会の社会的地位とその役割を高めようと意気込む朴会長。記念イベントには、「6.15時代と、5.17共同声明に沿った内容」(朴会長)も盛り込まれる予定だ。(金潤順記者) プロフィール:1950年神奈川県生まれ。東京第1初中、東京中高、朝大政経学部(14期)卒業。朝青朝大委員会、朝青中央副委員長、総連中央国際部指導員を経て非専任活動に。新宿商工会理事長、東京中高建設委員会副委員長、ハナ信用組合発起人代表。現在は、東京都商工会副会長、朝大創立50周年記念事業実行委員会会長、朝大同窓会会長。 [朝鮮新報 2006.7.8] |