〈2006日朝教育交流の集い〉 「東京第2の土地裁判」で報告 「まず、知り合うことから」 |
2006年日朝教育交流の集いが11日、東京朝鮮第5初中級学校(墨田区)で行われ、朝・日の教育関係者と生徒ら400余人が参加した。授業参観、教職員交流分科会、同校生徒らによる芸術公演、全体会などが行われ交流を深めた。「まず、お互いに知り合うことから始まる」を合言葉に1975年から始まり、今年で32回を数える集いは、朝・日関係が厳しい状況にある中でも日本と在日の教育関係者らが交流を続け、民族教育への理解を広めるための貴重な場となっている。 母国語話す児童に感銘
集いでは、日本人教員らが朝鮮学校生徒たちの授業を参観し、チャンゴやプクを習い、各分科会で論議を深め合うのが慣例となっている。この日もまず、参加者らは校内を見学し、初級部1年から中級部3年までの公開授業を見学した。初級部1年生の国語を参観した墨田区立八広小学校の男性教員は、母国語教育を受け始めて1年にも満たない児童たちがはきはき朝鮮語を話す姿に感銘を受けていた。昨年、両校の4年生同士が交流したこともあって、朝鮮学校には親しみを持っているそうだ。
また、東京第1初中(荒川区)の生徒、教員らと交流したことのある墨田区立第2寺島小学校の佐藤由紀子さん(55)は、「まだ1年生ですよね。児童の授業に対する集中力、教員の教育への熱意がすばらしい」と感心していた。 中級部2年生の日本語授業は「自分の気持ちを伝えるには話すほうがよい」と題したディベート形式で行われた。 杉並区立井草中学校の高橋藤枝さん(45)は、生徒らのレベルが高いことに驚きを隠さない。「先月に続き二度目の朝鮮学校訪問だが、生徒たちの表情が明るい。教員たちもまんべんなく授業準備をしていることがわかる。全体的に引き締まっている印象を受けた」と語っていた。 友好絵画展の経験報告 教職員交流分科会は朝鮮語、チャンゴ、プク、「南北コリアと日本の子どもたち展」に関する報告の4分科に分かれて行われた。 中でも今年のメインは「南北コリアと日本の子どもたち展」に関する報告で、この問題に携わっている東京第5初中の金聖蘭教員が講演した。 金教員は、日本のNGO団体をはじめとする人士らの力を借りながら開いてきた北南朝鮮と日本の子どもたちとの友好絵画展で、在日の子どもたちが豊かなアイデンティティを育んだ経験について述べた。活動を通じて「子どもの健やかな成長と朝・日友好のため、われわれにできることをこれからも模索していきたい」と強調した。 アピールで右傾化批判
全体会では来ひんとして石井義修都議があいさつ。2006冬季五輪開会式での北南選手団の合同入場シーンをみて感動したと述べる一方、日朝の平和的交流がなによりも大事だと強調した。 つづいて、集いの吉田一徳実行委員長(東京都公立学校教職員組合執行委員長)、東京第5初中の金春男校長らがあいさつした。 また、東京朝鮮第2初級の宋賢進校長が同校の土地問題をめぐる裁判について特別報告。宋校長は「今も常にカメラが回っている状態」で内外の関心が高まっていると指摘し、これまでの裁判経過などについて説明。「払い下げを前提とした和解が目標。良い報告ができるようにがんばりたい」と決意を述べた。 集いでは、「日本学校と朝鮮学校の交流の輪を大きく広げていこう」と題した日朝教育交流を推進するアピールが全会一致で採択された。 アピールでは、東京第2の裁判と関連して、「この地の歴史的経緯を無視した政治的判断」だと断定し提訴の取り下げ、交渉の再開を求めた。また、侵略を美化する歴史を児童・生徒らに教え込む教科書を押し付ける動きを批判した。 在日本朝鮮人教職員同盟の具大石委員長(教職同東京委員長兼、東京中高校長)は、このような教育交流を通した教員同士の着実な連携が在日同胞と日本人間の協力、親善を深めることに寄与していると強調したうえで、この集いが「広範な日本人士からの幅広い理解と支持を得られる重要な空間、『てこ』になると確信している」と述べた。(李東浩記者) [朝鮮新報 2006.2.18] |