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05年度教育研究集会 東日本集会から、カリキュラム、教科書改編から2年 現場教員の実践

教材研究、言語能力高める実践で成果

 05年度教育研究集会が1月28日、東日本、東海・北信、近畿、中四国・九州の4地域ブロックで行われた。03年からスタートした新カリキュラムと新教科書を使った授業での研究成果と経験、「民族心」を育てるための研究に重点を置いた307編の論文が発表された。新カリキュラム、新教科書導入から2年、現場で奮闘する教員たちの経験を東日本集会から見た。

初級部国語−「聞き、話す、読む、書く」効果的な方法模索

総合的な国語能力を高めるた熱心な研究が進む初級部国語分科

 民族教育での初級部の国語教育はますます重要になってきている。同分科では今回、03年に新たに改編された教科書の意図と趣旨を把握するため、今までの2年間の研究に基づいた成果が発表された。「聞き、話す」の口語教育の効果的な方法、「書く」機能を高める方法などに焦点があてられた。

 神奈川初中高の梁清姫教員は、文章を声を出して読むことで読解力を高めた経験について発表。梁教員は、生徒らの学習意欲と理解力を育てるためには、しっかりと聞けて意味を知ったうえで文章を読めなければならないと考えた。

 段階を設定し、教材の中心をとらえながら「聞いて、読む」ことに力を注いだ。@みんなの前で読むことに慣れさせ機会を与えるA単語の意味と使い方の指導に力を注ぎ、文章中の主語、述語を意識的に探させるB重要な単語、段落内の重要な文章を知るようにするC人物の心、変化、姿など些細な点を知り、それを生かして読むようにさせる−の4段階を経る過程で生徒らの聞く姿勢、教材の把握や楽しさを感じるなどの効果があったと述べた。

 埼玉初中の邵己淑教員は、発表能力を育むための「書く」ことの指導過程について発表。「書く」能力を高めることによって作文や表現力、読解力を養うことに力を注いできた経験について述べた。習った知識やあらましの整理、感想文の発表、手紙文の作成、朗読の発表会などを行い、国語の総合的能力を育てることができたという。また、発表の場を用意することにより、レベルの違いはあるものの生徒たちが目的意識を持って参加するようになったと述べた。

 総連中央教科書編さん委員の金琴順氏は、「国語では『読み』の教材が大きな比重を占める。そこに込められた意味、内容を教えることがとても大切。今後の課題として国語教育を通じて、民族心をどのように育んでいくかの研究も必要だ」と述べていた。(金明c記者)

初、中級部教養−民族心育むユニークな取り組み

 集会前日に行われた初、中級部教養分科では、生徒らに「民族心」をどのように育ませるかに焦点があてられた。また、さまざまな環境下での取り組みについての論文が発表された。

 埼玉初中の金春華教員は、福祉教育に関する論文を発表。同校では3人の障害者に対する個別指導を実施しており、04年4月から現在までの実践について述べた。

多彩な内容の論文に耳を傾ける教員たち

 それまでは、生徒たちの障害者への理解不足や教員らが持っていた「負担感」、家庭の理解不足などから個人指導や授業に対する具体的な対策を立てられずにいた。

 しかし、04年から「個別指導委員会」を発足させて、学校全体で取り組む態勢を整えた結果、個別指導を福祉教育へと発展させる一歩となった。

 金教員は、障害者に合った指導をするためには、担任教員や意欲的で献身的な教員一人の力ではできず、学校全体で支援するよう、そうした理解を共有することが大切だと強調した。

 鶴見初級の慎時男教員は、学校の歴史研究活動を通じて生徒らの愛校心を育てようとした経験について発表した。

 同校は2月に創立60周年を迎える。ここに目標を定め、昨年9月から現在まで研究段階を@沿革史の学習と研究内容の模索A研究調査活動B沿革のビデオ作成及びクイズ大会C研究内容の発表の4つに分けて実施。ビデオ作成時には生徒自らが出演、説明した。

 「1世の苦労を忘れてはだめだ」「もっと具体的な歴史を知りたい」など興味を示す生徒らが増えたという。

 また、川崎初級の姜珠淑教員は、川崎市教育委員会と日本の民間団体が共催する「子どもの母語、語学教室と親子ひろば」という講座で講師を務めながら、そこで得た経験について発表した。

 ニューカマーや在日の父母らとその子どもらがたくさん集まる場で、自身の役割がとても大切だということ、また、言葉を教えるにあたっては朝鮮学校の歴史的背景から「在日」がとても有利だということについて強調した。最後に「準正規教育の組織的な取り組み、地域の特性に合った多様な形態が必要だ」と述べた。(金明c記者)

中高理科、情報−初、中高の連関性重視

 中高理科、情報分科では初中高の授業内容における連関性と到達度、ネットワーク知識習得、反復教授内容に対する教授方法、教育における視覚教育の実効性、実験指導書の資料作成など、多彩な研究成果が発表された。教員らは互いに意見を述べあい、情報を共有しあっていた。

熱い議論が繰り広げられた中高理科、情報分科

 東京第5初中の呉昌廣教員は理科教育における初、中、高での授業内容の連関性と到達度が内容別にひと目でわかるように、それらのつながりが整理された資料を披露。資料は題目、到達度、実験内容、新しい単語などを表にして整理した。その資料に基づき、授業を「どこまで、どこから、どのような言葉」で進めるべきか示した。

 資料によれば、初級部では「消化液」と記述しているものを、中級部では「消化液の中の消化酵素」と記述、さらに高級部では「消化液の中の消化酵素」の名前まで記述されている。そのような連関性を見やすく整理した。呉教員は初、中級部を基準とした資料も作成していくことが、今後の課題だと述べた。

 神奈川初中高の金燦旭教員は情報教育におけるネットワーク知識習得のための効果的な授業方法について研究、効果的な授業進行の実践活動について報告した。情報化時代に対処する情報技術と情報活用能力を生徒に習得させることが同科目の使命であると指摘した。

 金教員は生徒らが「敬遠」しがちなこの分野で、ネットワークの表象をつかむため、反復学習することにより、それを「克服」した経験などについて具体的な授業内容を示し、説明した。

 ネットワーク知識習得のためには@教員がネットワーク知識を正確に把握し、生徒が習得すべき知識を設定することA授業での到達目標と評価法基準を設定することB到達目標達成の効果的な授業を進行することと指摘した。授業形式は生徒らによる▼3人1組でのServer構築▼副教材を駆使した実技の把握に定めた。その結果、高2の生徒ら12人に実施したLinux(OSの1種) Server構築の授業がネットワーク知識を学習するうえで、一定の成果を示し、確かな効果が現れたと述べた。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2006.2.10]