top_rogo.gif (16396 bytes)

日本軍「慰安婦」問題 河野談話の発展、浸透を

責任逃れ、居直る日本政府

 「強制連行はなかった」「軍が直接関与した証拠はない」−日本軍「慰安婦」問題の責任を認めない勢力の「巻き返し」が勢いを増している。靖国神社参拝、「東京裁判」忌避、戦争の正当化、ひいては憲法改正、核保有論議に至るまで、日本社会の右傾化がアジアの被害者たちを苦しめている。

軍関与は明らか

 下村博文官房副長官は、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認め謝罪と反省を示した1993年の河野洋平官房長官談話(全文別項)について、見直しの必要性について言及した。日本政府として談話は踏襲するとしているが、強制連行や軍の関与を否定する「含み」がひそんでいるとして、アジア諸国から憂慮の声が挙がっている。

 日本で「慰安婦」被害者の支援や日本の戦争責任を追及している民間団体関係者は、「再調査は大いにやってもらいたい。だが、軍がさまざまな形で関与したことは確かな資料をもって示されている。それらを踏まえ、河野談話や村山談話をより強化、発展させてほしい」と述べる。

 政府高官や自治体首長らの「従軍慰安婦」否定発言は相変わらず続いており、被害者や家族、支援者から反発を買っている。

 しかし、被害者や住民の証言だけでなく、徴募、移送、管理に軍や官憲が関与した事実、軍が民間業者に慰安所設置や女性の選別まで指導した事実を示す文書や資料など証拠は多い。米軍による調書もある。

 戦争体験者の告白もあった。中曽根康弘元首相は、海軍主計将校として慰安所設置を行ったと述べている。フジサンケイグループ初代会長の鹿内信隆氏も、慰安所の設置運営に日本軍が関与した事実を認める発言をした。

米下院決議に横やり

 日本政府は河野談話、村山談話以降も何ら責任を果たしてこなかった。謝罪と反省からかけ離れた言行が目立ち、日本社会に浸透していない。そのため、95年に設置された「女性のためのアジア平和国民基金」も大きな反発を招いた。

 被害女性と支援者たちは、デモや証言集会、署名運動などを通じてたたかいを続けているが、高齢となった今では、名誉回復が果たされぬまま亡くなる被害者が多い。

 そんななか、8月にフィリピンで上下院の与野党議員らの参加のもと、国際議員フォーラムが開催。日本軍「慰安婦」問題が集中審議され、日本の責任を問い謝罪や賠償を促す宣言が採択された。9月には、南朝鮮国会に「日本軍『慰安婦』問題の請求権交渉を要求する決議案」が提出された。

 さらに注目されたのは、米下院国際関係委員会を通過した「慰安婦」問題での対日非難決議案の行方だ。米国会議員らの協力によって提出された同決議案の本会議採択に向け、在米同胞らは数万通の手紙やビラでアピールし、署名活動やデモを通じ理解を求めてきた。

 同決議案はそのまま審議、採択されるものと思われていた。しかし、日本政府は現共和党指導部に強力な影響力を持つ元共和党院内総務のボブ・ミシェル氏を「雇い」、決議案通過を阻止するため躍起になってロビー活動を展開している。

 一部のメディアは「通過の可能性はなくなった」と伝えたが、「中間選挙後に審議にかけられれば望みがある」とみる声もある。被害者のハルモニたちは、19日から南朝鮮と日本の20数カ所で証言集会を開く。

 どれだけ歴史を捻じ曲げ国民をミスリードしようとも、侵略戦争と国家犯罪の事実は消えず、その責任から逃れることはできない。

 河野談話、村山談話の発展と浸透のための「再調査」「見直し」に大いに期待したい。(取材班)

慰安婦関係調査結果発表に関する河野官房長官談話

[朝鮮新報 2006.11.6]