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そこが知りたいQ&A−朝鮮代表の入国が拒否されているが

「人権侵害」日本政府に非難集中

 Q 最近、日本で開催される国際会議やスポーツ大会に朝鮮代表が参加できない事例が続いているが。

 A そのとおりだ。日本政府は、14日から横浜市で開かれる第11回FINAシンクロナイズドスイミング・ワールドカップに出場を予定している朝鮮選手団の入国を事実上拒否した。

 法務省入国管理局によると、選手団13人のうち3人の関係者に対し、「北朝鮮政府関係者の可能性もある」として、ビザを発給しなかった。今回は内外の批判を避けるためか、選手は許可し、関係者を遮断するという狡猾な手口で事実上不参加に追い込んだ。

 さきの世界宗教者平和会議(WCRP)第8回世界大会(8月26〜29日、京都)に参加を予定していた張在彦委員長を団長とする朝鮮宗教人協議会代表団のメンバー6人も、日本政府から入国を拒否された。法務省は、「北朝鮮の人物に対して強化されたビザ発給の規制を適用した」と説明した。

 第15回東アジア少年卓球選手権大会(8月23〜25日、大阪)に参加するはずだった朝鮮選手団も参加できなかった。大会実行委員会から「諸般の情勢による選手の身辺安全問題のため今回の選手権大会参加を見合わせてほしい」という通知が朝鮮卓球協会に寄せられたというが、朝鮮卓球協会側は、「実行委員会が日本当局の圧力を受けて送ったものに違いない」と見ている。

 入国拒否の根拠となっているのは、日本政府が朝鮮のミサイル発射訓練と関連して7月5日に発表した「制裁措置」だ。「北朝鮮当局の職員の入国は原則として認めず、その他の北朝鮮からの入国についても、審査をより厳格に行う」などとしている。

 Q これに対する朝鮮側の反応は?

 A 朝鮮卓球協会スポークスマンは8月23日に発表した談話で、主催者側が「選手の身辺安全問題」を理由にしたことを皮肉り、「2009年に日本(横浜)で開催される世界卓球選手権参加者の身辺安全はもちろん、今後日本で行われる国際的なスポーツ競技参加者の身辺安全も疑問視せざるをえない」と述べた。また、「日本当局は神聖なスポーツ競技に政治的に干渉して朝鮮選手団の大会参加を阻んだ責任から絶対に逃れられない」と非難し、日本卓球協会と大会実行委員会に対しても、「日本当局の政治的玩弄物に転落し、オリンピック憲章とスポーツ理念に反して行動したことに責任を負うべきだ」と主張した。

 一方、朝鮮宗教人協議会スポークスマンも8月26日に談話を発表し、日本当局の対応を強く非難した。談話は、日本当局の不法、非道な妄動は、国際関係史に類例のない一種の「宗教弾圧」行為であり、国際信仰共同体に対する愚ろうであって、自らのけん伝する「人権」と「宗教の自由」がどれほど偽善的であるかをことごとくさらけ出したことになると指摘した。

 Q とくにWCRPの第8回世界大会に朝鮮代表が参加できなかった問題は波紋を広げたというが。

 A WCRPは、世界の宗教指導者らが平和を脅す問題に共同で対処するための国際会議で、今大会にはキリスト教、仏教はもちろん、激しく対立しているイラクのイスラム・シーア派とスンニ派の指導者、レバノンの宗教指導者を含む世界100余カ国から2000人余りが参加した。

 このような権威ある世界的な大会だけに、朝鮮代表が参加できなかった問題が物議をかもした。WCRPは声明を発表し、深い遺憾の意を示した。

 韓国宗教人平和会議も8月24日の声明で、北側代表に対するビザ発行拒否は宗教界による全世界的な平和運動に対する妨害だとし、日本政府にこの問題に対する説明と謝罪を求めるために必要な対策を講じると反発した。

 日本の政界からも懸念の声があがっている。民主党の鳩山幹事長は9月7日、WCRPのベントレー事務総長との面談で、朝鮮代表6人に対して法務省が入国を拒否した問題に言及。「日本の政府が必ずしもWCRPの思いに応えることができなかったことが残念。平和を考える会だからこそ来られることに意味があった。入国を拒まれるのは極めて残念だった」と語った。

 Q 在日同胞の訪朝にも影響があるが。

 A 「制裁措置」では、「在日の北朝鮮当局の職員による北朝鮮を渡航先とした再入国は原則として認めない」としている。

 しかし「在日の北朝鮮当局の職員」という表現がどうもあいまいだ。日本に総聯職員はいても、朝鮮政府から給料をもらいながら働いている職員はいない。

 再入国許可の基準もあいまいで、同じような立場にいる同胞に対する対応でも、従来どおり「数次」を許可する反面、ある場合は「1回限り」だったり、「自粛」などとして許可しなかった場合もある。

 特別永住者の在日同胞「渡航の自由」は当然の権利で、これに制限を加えることは重大な人権侵害にあたる。

 今回の「対北朝鮮措置」では同時に、「万景峰92」号の入港も禁止した。この便で親族訪問や修学旅行を予定していた多くの同胞、学生らが計画の中断に追い込まれている。

 そもそもミサイル発射訓練と「万景峰92」号とは何の関連性もないし、まして在日同胞とは何の関係もない。「制裁措置」により、在日同胞の人権が大きく侵害されている。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2006.9.12]