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在日朝鮮人人権セミナー、日本政府の「戦争政策」と「差別政策」を批判する

在日朝鮮人人権セミナー(7月27日)

 朝鮮のミサイル発射訓練以後、総連への弾圧、とりわけ在日同胞への不当な人権蹂躙行為が白昼堂々と行われている。さらに、在日同胞子女への暴行、暴言、脅迫が相次ぎ、同胞生活はもとより生徒らに矛先が向けられている。そんな中、日本政府の「戦争政策」と「差別政策」を批判し、法的不当性を暴き、それを内外に広く呼びかけるための緊急セミナー「在日朝鮮人人権セミナー」(実行委員長=床井茂弁護士)が7月27日、日本教育会館(東京都千代田区)で開かれた。セミナー会場は110人の聴衆で埋まった。

 セミナーでは、@朝鮮学校生徒らに対する暴行、暴言行為、A「万景峰92」号入港禁止措置、B在日朝鮮人らの再入国許可規制に関し、床井茂、古川健三の両弁護士、東京造形大学の前田朗教授、在日本朝鮮人人権協会の金東鶴部長、朝鮮大学校の崔永昊助手、教職同中央本部の姜賢副委員長、東京朝鮮中高級学校の康潤伊さん(高3)、総連神奈川県本部の高行秀副委員長らが発言した。

 「いろんな見解がある。しかし現に起きている差別政策、人権侵害に対し声を挙げることが出発点」だと強調する前田教授の司会で始まったセミナー。実行委員長の床井弁護士は、「『拉致事件』以降、加害者が被害者に、被害者が加害者になっている。今こそ民主主義的な民族権利を守ることが要求されている」とあいさつした。

 金東鶴部長は、在日朝鮮人に対する不当な出入国許可の制限について発言した。金部長は外国人登録上、国籍が「朝鮮」となっていれば、基本的にマルチの再入国許可が出ない現状を批判。再入国許可が即日発行されないケースも出てきていると指摘した。そして「日本政府の措置は不当で不法である」と憤りを露わにし、ミサイル発射実験以降の現況、外国人登録法上「朝鮮」国籍者に対する再入国適用の沿革、これらに関する法的問題点などについて関連条文などを引用しながら説明した。

 崔永昊助手は、「万景峰92」号には民族文化や芸術の習得、登山や歴史探訪、観光、親族訪問などの利用実態があるとの前提を指摘。船が「『分断』された状態を補う重要な手段」であるにもかかわらず、特定船舶入港禁止法適用により入港を禁止した日本政府の不当性について法律の性格などを論じながら厳しく批判した。

 また、姜賢副委員長は朝鮮学校および教職員、生徒に対する暴行、暴言、脅迫、いやがらせなどが報告されたものだけでも、121件(7月26日現在)に上ったと言及。さらにそれらは、全国的な範囲で広がっており、初級部1年生までをも含む無差別的な嫌がらせであると指摘した。そして被害が「自作自演」であるというインターネット上での書き込みについて、「遺憾を通り越している」と強い口調で話した。

 康潤伊さんは、今回のミサイル発射訓練騒動に関し、自分の見解を素朴に語った。康さんは修学旅行出発の朝(7月5日)、テレビでミサイル発射訓練の報道を知った。修学旅行は中止になった。その日、日本の友人らに「大丈夫?」「大変だったね」と声をかけられた。小さいが揺るぎない友情が朝、日関係改善のための一歩となる、人と人との関係は、国と国との関係を変えられると強く信じている、「私は一人の在日朝鮮人として日本人に歩み寄り、私たちの未来のために第一歩を踏み出したい、手をとり合いたい、そう思っている」と聴衆に訴えた。

 高行秀副委員長は、横浜市の固定資産税問題に関し、課税措置に至った経緯と抗議活動について経過説明した。そして、@減免取消措置即時撤回、A暴言、暴行を止めることなどを訴えた市への申し入れ書を読み上げ、「これは全同胞の問題だ。市長を訴えてでも解決したい」と決意を披瀝した。

 セミナーは、日本政府の不当な政策に対する認識を共有していく貴重な場となった。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2006.8.1]