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新潟 総連関連施設固定資産税訴訟 第6回口頭弁論

学者鑑定、証人申請へ

 新潟市が総連新潟県本部会館と祖国往来記念館(ともに新潟市)に対する固定資産税と都市計画税の減免決定を取り消したのは不当として、総連県本部と祖国往来記念館管理会が全額減免を求めた訴訟の第6回口頭弁論が4月27日、新潟地方裁判所で行われた。

歴史的経緯などにも

口頭弁論後に行われた報告集会。傍聴した総連職員と同胞、日本人らが参加した

 これまでの裁判では、原告側が両施設の役割や使用状況を説明したのに対し、市側が減免決定を取り消した理由について説明した。この日は原告側が学者による鑑定を申請。今後、証人申請も行っていくという。

 原告側弁護団の床井茂弁護士は、口頭弁論後の報告会で、「日本が朝鮮を侵略し朝鮮人を強制連行してきたという過去の歴史が考慮されなければならない。朝鮮との繋がりだけでなく、地域との繋がりから見ても(両施設に)公益性があるのは明らか」と述べた。

 市側は昨年、記念館などの使用状況を調べたが、いずれの日時も減免決定取り消し後であり、「万景峰92」号の入出港を前後した数時間のみで、「わざわざ留守を狙った」との見方がある。

 さらに、新潟市長は市役所職員らに対し減免撤回、課税の理由を「拉致問題で市民感情が許さないから」と説明していた。実際、市側は裁判資料として拉致問題に関連した記事などをいくつも提示している。

 これに対し、「社会の風潮によって『公益性』が変わるのはおかしい」と指摘されている。

 原告側弁護団の古川健三弁護士は、両施設に公益性があり減免が妥当とする理由について、「在日朝鮮人の祖国往来のための窓口であり、外交的な役割を果たしている。また在日朝鮮人は地域の住民であり、税金も納めている」と述べた。

 次回口頭弁論は6月15日に行われる。

在日朝鮮人の地位問題で学習会 「いろんな人いて社会が豊かに」

 床井弁護士は第6回口頭弁論が行われた4月27日の夜、新潟県高校会館で行われた「北東アジアの平和を考える会」主催の学習会に講師として出演。総連関連施設に対する固定資産税課税問題や在日朝鮮人の法的地位と人権問題について講演を行った。「考える会」のメンバーをはじめ日本人、同胞ら約50人が参加した。

 床井弁護士は、3月の大阪府商工会への強制捜索は一種の「思想調査」のようだとし、「共謀罪」導入問題など過去の治安維持法をほうふつとさせると指摘した。また、1960年当時の日本法務省高官の発言(「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」)などを挙げ、こうした考え方が今でも残っていると指摘した。

 また歴史認識、教育の問題について、「現在の日本の教育では在日外国人について触れる機会が少ない。なぜ在日朝鮮人が多いのか考える必要がある」と指摘。新潟県下数十カ所で強制連行や朝鮮人の労働が確認されていることなどを挙げ、強制連行や日本軍「慰安婦」問題など日本の過去清算の必要性を訴え、「強制連行された人たちの子孫という歴史的な特殊事情がある在日朝鮮人は国際法上保護されるべき存在だ」と述べた。

 固資税問題では、総連の活動の公益性を否定した福岡高裁判決を「恐ろしい判決」とし、総連が朝鮮の「窓口」の役割を果たしており、日朝友好のための活動など地域との繋がりもあると強調。公益性が認められるべきだと述べた。

 床井弁護士は最後に「いろんな人がいてこそ社会が豊かになる」と述べ、在日外国人の権利を守ることが日本のためになると強調した。

 講演を聴いたある日本人高校教諭は「在日朝鮮人や外国人の人権問題を日本の問題、われわれ日本人の問題として捉えていかなければならないと感じた」と感想を述べた。

[朝鮮新報 2006.5.11]