〈警視庁不当強制捜索〉 大阪府商工会 大阪地裁に準抗告申立、押収処分取り消し求める |
拉致問題とまったく無関係
さる3月23日に強行された、在日本朝鮮大阪府商工会に対する警視庁公安部の不当な強制捜索を糾弾するために構成された抗議団のメンバーが18日、大阪府商工会で執行された押収処分の取り消しを求めた準抗告申立書を大阪地方裁判所に提出した。総連大阪府本部の玄正男副委員長を団長とする抗議団のメンバー7人と、代理人の古川健三弁護士が大阪地裁を訪ねた。この日、抗議団の委任を受けた古川弁護士は、準抗告を担当する裁判官と直接面談、今回の強制捜索の違法性と大阪府商工会の事業の正当性、この事態と関連し派生する在日朝鮮人に対する差別などについて在日同胞の立場をあらためて明らかにした。 今回の準抗告申立は、申立人を在日本朝鮮大阪府商工会(代表者呉政輝理事長)とし、申立人代理人を古川弁護士として、「警視庁公安部外事二課所属の司法警察員馬場祐司が、平成18年3月23日、被疑者原敕晃、洪萬植、坂本こと辛光洙に対する、国外移送目的拐取、国外移送、監禁罪被疑事件について」、大阪府商工会で執行した押収処分の取り消しを求めたものである。 申立書によると、大阪府商工会は同会が「大阪府内に在住する、在日朝鮮人商工人らにより結成された、祖国の自主的平和統一と在日同胞商工人の企業権をはじめとする諸般の権益を拡大援護することを目的とする、法人格なき団体である」ことを明らかにし、今回の押収処分は必要性、相当性を欠く違法な処分であると断じた。 そして、「申立人と本件との関連性は全くない」と指摘。その理由について「本件被疑者が申立人の会員であった事実はもちろん、現在会員で被疑者のことを知る人物は一人もいない」、また、本件被疑事実と申立人を結び付けているのは、被疑者の協力者であったとされる人物が、当時(70年代末から80年代半ば)の府商工会の理事長と会長であったという事実のみであると、以下のように指摘した。
「本件犯行はすでに四半世紀前のことである」が、当時の資料はほとんどなく、「本件被疑事実と本件強制捜索、押収処分との間の時間的懸隔を見ても、その隔たりは甚だしい」 また今回「あえて強制捜査敢行の直前に、マスコミに対し情報をリークしてマスコミを総動員したうえで、本件捜査を行い、なんら関連性のない資料を、捜査当局は押収したものであるが、被疑事実と関連のない物件を押収することは違法であり、許されないことである」と強調した。 さらに申立書は、「判例によっても『犯罪の態様、軽重、差押物の証拠としての価値、重要性、差押物が隠滅毀損される恐れの有無、差押によって受ける被差押者の不利益の程度その他諸般の事情に照らし明らかに差押の必要がないと認められるとき』には、差押えは許されない」とされており、「本件押収処分は、まったく関連性の乏しい資料を、申立人不利益において持ち去ったもので、明らかに差押えの必要性がないと認められる場合に該当する」と指摘した。 つぎに申立書は、強制捜査の必要性がまったくなかったことについて明確にしている。 申立書は「いわゆる拉致問題は、戦後の冷戦状況がもたらした悲劇であり、その適切、人道的な解決は日朝両国の望むところである」と述べ、拉致問題以降「いわれなき差別、暴力、偏見におののいているのが現実」であり、「在日朝鮮人らもまた、拉致事件の被害者である」と指摘した。 また、拉致問題の解決を望んでいる旨を公式に明らかにしている総連の立場と、本件被疑事実に対する捜査に協力する用意のある府商工会の態度に鑑みるならば、「あえて強制捜査をなさなければならないほどの必要性は微塵も見出せない」と強調した。 申立書は結論として、「本件押収処分は、押収物と被疑事実との間の関連性が明らかに存在せず、仮に捜査の必要性があるとしても、総連も申立人も、拉致問題の早期解決を求めていることなどからすれば、明らかに相当性の範囲を逸脱した強制捜査である、と評せざるを得ず、違法不当な処分であることは論をまたない」とその不当性を主張した。 [朝鮮新報 2006.4.22] |