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東京、大阪で緊急集会 大阪府商工会への警察当局の強制捜査 「不当な弾圧を糾弾する!」

 日本当局が3月23日、警視庁公安部と大阪府警機動隊を動員して大阪府商工会を強制捜索したことと関連し、これを糾弾する緊急集会が東京と大阪で3月29、30の両日、それぞれ行われた。会場にかけつけた多くの同胞らは、日本当局の不当な弾圧に対して怒りを露にしながら、一致団結して立ち向かっていく決意を新たにした。また、会場には日本人士らも駆けつけ、激励と連帯の意を表しながら、ともにたたかっていこうと訴えた。

東京

日本当局の不当な政治弾圧を断固糾弾する東京緊急集会の参加者たち(3月30日、日本教育会館)

 東京神保町の日本教育会館で3月30日に行われた「日本当局の大阪府商工会に対する強制捜索と在日同胞に対する弾圧策動を断罪、糾弾する中央緊急集会」には、総連中央の南昇祐副議長と高徳羽副議長兼同胞生活局長、各局長と関東地方の活動家と同胞が参加した。

 集会で報告した南昇祐副議長は、警察当局が大阪府商工会などを10時間もかけて強制捜索し、「容疑」とはまったく関係ない資料を押収したことを糾弾しながら、商工会は「国外移送目的拐取と監禁等の容疑」とはなんの関係もないと強調した。

 また、日本当局が総連と在日同胞に対し執拗に弾圧を加えるのは、和解と平和、自主統一へと発展している朝鮮半島情勢の流れを逆戻りさせて、朝鮮を力で圧殺しようとする米国の対朝鮮政策に追従し、みずからの野心を現実のものにしようとする卑劣な政治行動だと強調した。

 そのうえで、日本当局の弾圧と不当性を広く知らしめ、在日同胞の処遇改善と朝・日平壌宣言の一日も早い実現を支持する世論を高めていこうと訴えた。

 集会では、日本婦人連絡会の清水澄子代表、床井茂弁護士、同志社大学の浅野健一教授、評論家の野田峯雄氏、大阪経済法科大学の吉田康彦教授らが連帯のあいさつをした。

 つづいて、商工連合会の呉載世理事長、女性同盟中央の金昭子委員長、朝青中央の呉泳哲委員長、総連東京都本部の金格生副委員長兼城南支部委員長らが討論。今回の不当な弾圧に民族的義憤を禁じえないと述べながら、日本当局の策動に屈することなく団結してたたかい必ず勝利を収めようと呼びかけた。

 集会では、抗議団を組んで内閣府と警視庁に対する抗議行動を行うことが満場一致で承諾された。

大阪

不当捜査を糾弾するシュプレヒコールが鳴り響いた大阪集会会場(3月29日、東成区民ホール)

 一方、「大阪府商工会に対する日本警察当局の不当な強制捜索を断罪、糾弾する大阪同胞緊急集会」が3月29日に行われ、会場となった大阪市東成区民ホールには、大阪をはじめとする近畿地方の同胞と活動家らが大勢詰めかけ、熱気に包まれた。

 集会では、緊急集会実行委員会委員長の金奉亨・総連大阪府本部委員長が報告を行ったのに続き、南大阪平和人権連帯会議の加来洋八郎議長と市民活動家の長崎由美子副代表が連帯のあいさつを行った。

 つづいて、総連の各代表らが討論した。

 朝青東大阪南支部の辺容哲委員長は、現在の状況を打開するたたかいで朝青が先頭に立つことについて、大阪府商工会の朴東任経営経理部長は今後も屈することなくたたかい、大阪府商工会の正当な事業にさらに献身していくことについて、女性同盟城東支部の玄順愛総務部長は同胞の団結した力で朝鮮学校と子どもたち、総連組織と同胞社会を最後まで守り抜く決意について語った。

 また、大阪府商工会の高元亨副理事長と総連東淀川支部の金龍元委員長もそれぞれの立場から同胞たちの安定した生活と権利を守るため、活動していく決意を表明した。

 参加者らは、「日本当局は不当な『反総連政治弾圧』を即時中止しろ!」「警視庁公安部の不当な強制捜索を断固糾弾する!」などのシュプレヒコールをあげながら、総連の周りに団結し、最後までたたかい抜く決意を新たにした。

各界日本人士の連帯あいさつ

△清水澄子、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表

 戦後60年経った現在も、このような事態が起きていることに日本人として憤りと悔しさを感じている。

 今回の政治弾圧は、在日朝鮮人の存在すら認めないという旧帝国時代への逆戻りであり、決して許してはならない。

 また、日朝国交正常化交渉と6者会談の破綻をもくろんだものであり、卑劣極まりないものだ。日本人の立場からも、この問題は民主主義を守りファッショとたたかうことであり、手を携えてたたかっていこう。

△床井茂弁護士

 今回の事件ではっきりしたのは、「外国人は煮ても焼いても構わない」という思想がいまだに残っているということ。過去にもそうした思想から「外国人学校法案」や「出入国管理法案」が廃案には追い込まれたものの、国会に提出された。

 在日朝鮮人は言わば、「かごの中の鳥」だったが、それを一つひとつたたかいを通して勝ち取ってきた。

 現在の厳しい状況の中では、こうした先人たちの姿を見習うべきだ。

△浅野健一、同志社大学教授

 現在、日本には45年以前の植民地支配によるものと45年以後、朝鮮を敵視し、在日朝鮮人を差別してきた二つの罪がある。

 また、日本政府の中には2つの潮流が存在する。一つは右翼的な考えを持つもので、もう一つは民主的な考えを持つものだ。しかし、前者は国際的に見た場合、孤立していくだろう。後者の流れを大きくするためにも、徹底的に今回の事件の不当性を明らかにしていかなければならない。

△野田峯雄、評論家

 拉致問題に関する取材を進めていくうちに感じたことは、「拉致運動」なるものが当初の目的を喪失し、大きく逸脱しているということだ。

 この運動の目的は、日本の核武装、戦争国家化である。つまり、「人権」や「被害」をうんぬんしている運動の指導者たちが拉致をあざ笑っているのである。

 日朝間の問題では、責任も取らず歩んできた日本に責任がある。それを日本人が直視して分析し、今後の道を探っていかなければならない。

△吉田康彦、大阪経済法科大学教授

 「救う会」などの団体は、「全員救出」を声高に叫んでいる一方で、朝鮮の「政権転覆」という排他主義的な主張をしている。仮に「政権転覆」が実現すれば、「全員救出」は絶対に無理だ。多くの日本人がこの矛盾に気づいていない。

 さまざまな情報を分析してみると、小泉首相は9月の退陣までにもう一度、平壌を訪問する可能性もある。

 正義は一つ。状況は厳しいが、みんなでがんばってこの難局を乗り越えていこう。

△加来洋八郎、南大阪平和人権連帯会議議長

 今回の強制捜索は、6者協議が必ずしも米国、日本の思惑通りに進んでいないこと、いかにも朝鮮と総連が悪く、怖いというイメージを作るための焦りでもある。このような選択は、日本を不幸に陥れ、民主主義を崩壊させる。まさに、法治国家として、アジアの一員として生きぬくためにも、私たち自身の課題として取り組まなければならない。

 今後とも、日朝国交正常化、南北統一問題など含め、地域で仲良くしていきたい。

△長崎由美子、市民活動家

 今回の強制捜索が拉致問題の真相究明に必要であったのか。もちろん拉致問題の解決を望んでいるが、悲しむ遺族の想いは、日本による強制連行で幾多の悲しみを持つ在日同胞のそれと同じだと思う。ここにおいては、互いが不信の念を抱きナショナリズムをぶつけ合うのではなく、理解を共有することが大事だ。

 一方、日本人に向けた朝鮮学校の公開授業を続けることは、マスコミ報道のそれとはちがうもの(世論)に発展していくだろうと信じている。

[朝鮮新報 2006.4.4]