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〈熊本朝鮮会館への固定資産税等免除措置〉 福岡高裁の判決、総連中央が記者会見、談話発表

「偏見に満ちた不当な判決」

 熊本朝鮮会館への固定資産税等免除措置に関し福岡高裁が不当な判決を下したことと関連し、東京都千代田区の朝鮮会館で3日、記者会見が行われた。会見には、総連中央の高徳羽副議長兼同胞生活局長と古川健三弁護士が参加、談話を発表した。談話全文は次のとおり。

 福岡高等裁判所は、昨日(2月2日)、熊本朝鮮会館の固定資産税等に対する熊本市の免除措置を適法とした一審判決を覆す判決を下した。

 私たちは、このような許しがたい不当判決に強い憤りを禁じえない。

 一審の熊本地裁判決では、熊本朝鮮会館は利用対象者、施設の設備や利用実態、事業内容等から見て社会教育法所定の公民館に類似しており、公益性を備えているとして、熊本市の免除措置を適法とした。

 これまで中央本部をはじめとする朝鮮総連の施設は、朝・日間に国交がない状況のなかで、日本における代表部格の役割と民間交流の窓口としてその公益性が認められ、約40年間にわたり固定資産税等の減免措置を受けてきた。

 周知の通り、私たち朝鮮総連は、民族教育をはじめ在日朝鮮人の人権と生活を守るため尽力しており、現在全国的に見ても168の地域で生活相談綜合センターを開設し、うち62カ所においては高齢者、障害者支援等の福祉活動も行っている。また、広範な日本国民のみなさんとの親善交流につとめていることも厳然たる事実であり、多くの総連関係施設は日本の学生と市民のサークル活動の会場や災害時の緊急避難所としても提供されている。

 したがって、私どもの活動は在日朝鮮人はもとより、広く日本社会の利益にも資すると自負するものである。

 熊本朝鮮会館においても、在日朝鮮人の社会的、文化的資質と地位を向上させるための学習会ならびに高齢者支援活動等が日常的に行われており、朝・日友好親善の発展のための経済、文化の交流を深める場として活用されている。

 にもかかわらず、福岡高裁は当該会館の利用実態を無視し、「朝鮮総連の活動が『我が国社会一般の利益のために』行われているものではない」という不当な政治判断に基づき一審判決を覆した。

 在日朝鮮人全般の利益と権利擁護を「私的」なものと決めつけ、その公益性を否定したことは、国際人権規約に著しく反する差別的な判断であり、日本における外国人排斥を助長するきわめて危険なものである。とりわけ、私たち在日朝鮮人は先の植民地時代に強制連行等で日本に移住させられた当事者とその子孫であり、いまわしい過去が速やかに清算されて安定した法的地位が保障されるべきであるにもかかわらず、在日朝鮮人の利益と権利を擁護する活動自体の公益性を否定するということは言語道断である。

 判決当日、日本の高位当局者の「朝鮮総連の位置付けという意味で司法がそういう判断をしたことは意義深い」との発言からも何らかの政治的意図がうかがわれるが、私たちは今回の判決が合理的な法律判断から逸脱した不当なものであり、朝鮮と総連に対する偏見と差別を増幅させるものとして、断固糾弾するものである。

 折りしも2月4日から北京で、朝・日平壌宣言の履行と信頼回復のために4年ぶりに国交正常化交渉が再開されているが、今回の判決はこうした時代の流れと両国民の願いにも逆行している。

 今回の判決が、日本国憲法や市条例、また法の一般原理である信義則等にも違反し、無効であることは疑問の余地がない。このため、多くの市民団体や法曹界、マスコミ関係者からもその不当性を訴える声が寄せられている。

 最後に、私たちの訴えが必ずや勝利すると確信しつつ、日本のみなさんが不当判決に対する批判の声を高め、温かいご支援を寄せてくださることを心から願ってやまない。

[朝鮮新報 2006.2.4]