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謎のイギリス人

 6者会談直前、平壌でも「6者会談」が開かれた。朝鮮、在日(筆者)、在中、在ニュージーランドの同胞、中国人、そして「謎のイギリス人」が参加した「会談」は、平壌市内のホテルのカラオケバーで、宴会形式で行われた。

 「会談」では朝鮮の歌謡曲や民謡に続き、日、中、英、米の名曲も飛び出した。カーペンターズの歌に合わせて「オッケチュム」を踊る姿は、冷え切った朝米関係に一縷の光が差し込むかのように映った。なかでも注目は「謎のイギリス人」による熱唱。「偉大な首領を仰ぐのが自慢中の自慢」 「あなたがいなければ祖国もない」といった歌詞まで熱っぽく歌う姿は謎をいっそう深めた。

 恐ろしいほど流暢な朝鮮語を使う彼は、どうやらイギリスから来た弁護士。

 ヨーロッパの企業を対象に朝鮮との貿易を仲介している。最近、仕事が増えてきたと喜ぶ彼は「朝鮮の核実験により朝鮮半島での戦争危機が回避されたと見る投資家や企業家がビジネスチャンスを伺っている」と分析する。腰が低く年下の筆者にも敬語で話す彼は、在日朝鮮人に対する理解も深い。「総聯組織、民族教育、在日同胞が一番(チェーイルトンポガ・チェーイル)」と賞賛した。渡日経験豊富な彼のお気に入りは大阪・鶴橋。来年7月に鶴橋で商談があるそうだ。

 「一緒にケジャン食べましょう」。そう言い残し再びカラオケに興じた。

 なぜ在日同胞社会のことまで詳しいのか。明け方まで続いた「会談」だったが、謎の解明には至らなかった。7月の「2者直接会談」に期待がふくらむ。(泰)

[朝鮮新報 2006.12.26]