日本政府による「制裁」措置について 朝鮮総連中央本部南昇祐副議長の談話 |
朝鮮民主主義人民共和国外務省は「9日にわが国の科学研究部門が地下核実験を安全かつ成功裏におこなった」と発表した。
外務省は「米国による反共和国孤立圧殺策動が極限を超え最悪の状況を醸し出している中」で「増大する戦争の危険を防止し、国家の自主権と生存権を守るため」の「自衛的戦争抑止力を強化する新しい措置」と言明している。また、核兵器の先制使用や威嚇、核の移転を絶対に行わず、「対話と協商による朝鮮半島の非核化実現の意志は依然として変わりない」との原則的立場を表明した。 米国などが、これを機に共和国に対する国際的な「制裁包囲網」を拡大強化し圧殺を企てている中、日本政府は7月5日と9月19日に次いで10月14日に単独で追加的「制裁」を実施した。 今回の追加的「制裁」措置は、すべての朝鮮籍船の入港禁止、朝鮮からのすべての品目の輸入禁止、「北朝鮮籍を有する者」の入国禁止など前例のない常軌を逸した異常な措置であるといえる。 日本が世界で唯一、農水産物などの民生部門の交易やスポーツ、文化に至るすべての人的交流にまで「制裁」の対象を広げ、「ヒト、モノ、カネ」の往来を全面的に遮断しようとしていることは、非道極まりなく、朝・日関係を極限の対立にまで至らしめる非常に危険な行為と言わざるをえない。 去る7月5日以来、矢継ぎ早に講じられている日本政府の「制裁」措置は在日朝鮮人の人権と生活を著しく脅かしている。 日本政府は在日朝鮮人と祖国を結ぶ「万景峰−92」号の入港禁止を「制裁」の象徴的措置として強行した。 そもそも「万景峰−92」号は、朝・日両国赤十字による帰国事業等の実績を踏まえ、在日朝鮮人の祖国往来のために就航し、国交のない朝・日間を結ぶ「人道の船」、「友好親善の架け橋」として広く認知されてきたものであり、その入港を政治的な理由で禁止することは国際赤十字の精神に背く許しがたい反人道的行為である。 在日朝鮮人がターゲットになるこの筋違いの反人道的措置により、多くの在日同胞、特に高齢者や病弱な人々、身体障害者などは祖国訪問と肉親との再会を実質上断念せざるを得ない苦痛を強いられており、民族学校に通う朝鮮人子弟らの祖国への修学旅行にも多大な障害をもたらしている。 また、日本当局による在日朝鮮人に対する再入国許可の締め付けなどの祖国往来への不当な規制は許しがたい人権侵害であり、地域社会で公益性が認められ固定資産税の減免措置が取られてきた朝鮮総連関連施設への減免取り消しは、法的根拠のない理不尽な差別行為である。 日本政府による「制裁」措置は、日本社会における朝鮮人排斥の差別感情をあおり、とくに民族学校に通う幼い児童、生徒に対する許し難い迫害と暴行、朝鮮総連機関に対する脅迫と放火、朝・日文化芸術交流のための公共施設使用に対する圧力や拒否などの事態を誘発、助長している。 さらに、融資差別や業界からの締め出しなど、在日朝鮮商工人の経営活動を圧迫しており、朝・日貿易に携わる同胞商工人には死活にかかわる打撃を与えている。 わたしたちは日本政府の度重なる「制裁」措置が、日本の植民地統治によってこの地に住むことを余儀なくされた在日朝鮮人に矛先が向けられ、新たな民族的排斥と迫害を生む深刻な状況を醸し出していることに民族的憤りを禁じえない。 歴史的経緯からみて過去を償い在日朝鮮人を保護すべき日本政府が自らの責任を回避するばかりか、在日朝鮮人の地位問題に誠実に取り組むことに合意した朝・日平壌宣言に反して、在日同胞の人権と生活権を著しく脅かしていることに強く抗議する。 圧力と「制裁」は対立と緊張激化の悪循環を生み不信と憎悪を増幅させるだけで、問題を解決することはできない。 わたしたちは、日本政府が不当な「制裁」措置を即時撤回し、在日朝鮮同胞の人権と生活権を保障することを強く求める。 2006年10月17日 [朝鮮新報 2006.10.17] |