中等教育実施60周年記念「井筒監督トークショー」 「民族の誇り持ち堂々と生きて」 |
大阪府オモニ連絡会、青商会主催 同胞ら「勇気づけられた」 大阪府オモニ連絡会、大阪府青商会が主催する中等教育実施60周年記念「井筒和幸監督トークショー」が9月13日、大阪市中央区のドーンセンターで行われ、同胞、日本人ら約530人が参加した。トークショーは生の「井筒節」に笑いと感動で包まれた。 笑いと感動いっぱい
トークショーは、民族教育の中等教育実施60周年を祝うとともに民族教育を広く宣伝し、民族教育の発展のために日々奔走するオモニたち、同胞女性たちを激励するために企画された。女性同盟大阪府本部、大阪府オモニ連絡会が事務局を務めた。 トークショーには、映画監督の井筒和幸監督が招かれた。井筒監督は昨年公開された映画「パッチギ!」で数多くの映画賞を受賞し、同胞社会でも大きな支持を得た。テレビやラジオでもさまざまな社会問題を鋭く批評するコメンテーターとして人気がある。民族教育や在日朝鮮人に対する理解も深い。 トークショーで井筒監督は、「パッチギ!」制作のきっかけや撮影秘話、映画に込めた思いなどを語った。映画公開以降、ネットなどで「北朝鮮の工作員」「平壌大学卒業」などと誹謗中傷を受けていること、映画のテレビコマーシャルで映画の主題ともいえる重要なシーンのオンエアを拒否されたこと、映画の主題歌「イムジン河」が日本に伝わる過程でフォークソングになったことなど、笑いと感動、感心させられる批評や具体的な逸話がたっぷり込められていた。 「パッチギ!」に込めた思い
映画「パッチギ!」は1968年の京都を舞台に日本人と在日朝鮮人の高校生らの葛藤と友情、「禁断の恋愛」を当時の民族問題や社会問題を織り交ぜながら描いた。 主人公の康介が朝高生のキョンジャに交際の告白をしたとき、「もしも結婚することになったら朝鮮人になれる?」と問われ声を詰まらせるシーン、友人の通夜で参列者に「日本人は何も知らん」と怒鳴られ立ち尽くすシーンは、映画を見た人に大きな衝撃を与えた。 井筒監督は「映画で訴えたかったことは何か」との問いかけに対して、「日本の若者に、日本と朝鮮半島をめぐるアジアの歴史について関心を持ってほしかった」と答えた。 「日本の歴史教育は坂本竜馬あたりで終わっている。日清戦争、日露戦争、日韓併合など明治の一番ドロドロした部分をきちんと教えていない。そういったものを、映画を通じて知ってほしい」 また「在日朝鮮人は卑屈にならず堂々と生きてほしい。民族教育をしっかり受けて、歴史の真実を追究し、名前に誇りを持って、自信を持って堂々と生きてほしい」と力強いメッセージを伝えた。 枝川舞台に続編制作 現在「パッチギ! 2」の制作が進められている。大阪では「ぜひ大阪で」との声が多かったというが、井筒監督が選んだのは東京・枝川。なぜ枝川に朝鮮人が集められたのか、なぜ石原都知事ともめているのか、といった問題を含め、1972年の在日朝鮮人一家にスポットを当てるという。表現の自由が広がり、いろんな文化が入り盛り上がりを見せた日本社会だが、「個人」を追求するようになり在日朝鮮人が表立って語られなくなる―そんな時代だという。 井筒監督は、在日朝鮮人の子どもたちの学び舎が取り上げられようとしていることに怒りを露わにした。 「在日朝鮮人は日本に史上まれなことをされている。まだまだ差別が多いが、落ち込まず克服し、民族のアイデンティティを確立してほしい」 トークショーに参加した人たちは「とても勇気づけられた。ぜひ第2弾を」(50代同胞男性)、「朝鮮人として子どもにしっかり教育していきたいと思った」(30代同胞女性)、「在日朝鮮人のことは知らないことばかり。真の隣人、真の仲間に、日本人でも『同胞』になれたら」(40代日本人女性)などと感想を述べた。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2006.10.2] |