〈広げよう 民族結婚の輪〉 同胞結婚相談所 エントリーキャンペーン終了 |
会員、民族結婚増加の土台築く
全国の同胞結婚相談所で6月1日から7月31日にかけていっせいに実施されたエントリーキャンペーンが、310人の新規会員拡大の成果をもって無事終了を迎えた。キャンペーン期間中には会員拡大のほかにも、各種講演会や出会いの場の提供など民族結婚成就のためのアプローチが積極的に行われた。 同胞家庭は在日同胞社会の「細胞」と呼べる。しかし昨今では、民族結婚は全体の20%にすぎず、年間1万人が帰化し、「細胞」は縮小化し続けている。民族結婚を奨励し、一連の悪循環に歯止めをかけることは結婚相談所にとっての最重要課題である。そこで相談所は、各機関と連携を取り推進委員会を結成。開設13年来、初となるエントリーキャンペーンに踏み切った。 期間中に相談所では冊子、チラシなど5万部を作成、配布するとともに、84カ所、1064人の参加のもと講演会、座談会を開き民族結婚に対する意識改革と宣伝に取り組んだ。
ここではとくに広島、岡山、山口などの中四国地方で体系的な活動がみられ、会員獲得の土台を築いた。 全体としては期間中に310人の新規会員の獲得に成功、これはキャンペーン以前の6カ月間の会員獲得数にも匹敵する。 そして適齢期の青年らの特性に合った食事会など、各種出会いの場を提供し民族結婚の可能性を広げた。 キャンペーンを通して相談所は各機関との協力は不可欠であり、とくに結婚適齢期を迎える若い世代との連携をいっそう深め、同胞社会に民族結婚を奨励する環境を作り上げなければいけないと総括し、キャンペーンにとどまることなく、この成果を踏まえ、民族結婚成就のため引き続き地域、各機関との意見交換を深め、同時に現会員へのフォロー体制を強化することが重要だと結論付けた。 エントリーキャンペーン抽選当選者
李洋成副所長に聞く キャンペーン後も会員 相談増続く −キャンペーンのきっかけは 民族結婚をもう1度考えるきっかけにとキャンペーンを行った。民族結婚に対する認識を改めることが何よりも重要だった。 結婚適齢者たちの変化し続ける価値観に対応するためには、従来の方法を変える必要に迫られた。小規模相談会を始めとした横のつながり、同胞の中に入ることを念頭に置いた。結果、山口では民団婦人会からの入会者を獲得するなどの成果もあった。 −目標は達成されたのか 今回、目標を100%達成したとは言えない。地域ごとに大きな差が出た。相談員の絶対数がまだ足りないと言える。 しかし、同胞過疎地にこそわれわれが入っていかなければならない。もっと同胞のニーズに応えていかなければいけない。 −キャンペーンの成果は 初めてのキャンペーンとしては大きな手ごたえを感じている。期間中に、通常時の3倍の入会者を得たのを始め、相談件数、問い合わせが明らかに増加した。これは現在も続いており8、9月に入っても通常時の2倍のペースで入会者が増えている。 最大の要因は宣伝活動の成功であると分析している。全同胞に向けて引き続き民族結婚を訴えていく。 −当面の目標は 年末まではキャンペーンの目標未達成分の消化、宣伝活動の強化を進める。各種講演会、座談会、相談会を随時行っていく。民族結婚予備軍の増大と意識改革が民族結婚の可能性を広げる。 −具体的には ターゲットを絞った宣伝活動に取り組む。 ひとつは結婚適齢者たちにたいして、もうひとつは彼らの母親にたいしてだ。 適齢者たちには、いますぐに結婚という考えがなかったとしても、意識したとき思い出すような宣伝をしていきたい。母親にたいしては今回のキャンペーンで全国的に息子、娘の結婚にたいして悩み、危機感が募っていることがわかった。解決に向け努力する。 そして入会者の成婚までを確実にフォローしていく。入会=成婚でなければ同胞にとって意味がない。成婚こそ絶対的評価と受け止めている。 −今後の展望はあるのか 現在の民族結婚率を20%から底上げすれば、悪循環に歯止めはかかる。 相談所以外からの民族結婚率が例年通り推移した場合、相談所から年間300組が成婚すれば、民族結婚率の低下に歯止めがかかる計算だ。 全同胞的な問題として受け止め解決したとき、豊かでもっと楽しい社会が戻ってくるはずだ。民族結婚は一部の利害関係などではなく、自分たちの問題であるという感覚が必要だ。 われわれにとっては民族結婚がすべての出発点だ。すべての始まりの仕事だと思っている。われわれがだめならすべてが終わるという覚悟で、可能性としての相談所を築いていきたい。 −最後に、出会いがないと嘆く人が大勢いるが 出会い方はいろいろある。知人の紹介、支部での出会いなどさまざまだが、どれもどこかにきっかけがある。作られてない出会いなどない。相談所もそのひとつだ。しかしどうもまだ誤解されている節があるようだ。昔ほどおせっかいを焼く人はいなくなった。結婚に関してもだ。 良い悪いの話ではないが、近頃の運動会では家族単位で昼食を取ることが多く、昔のような大所帯は風景から消えた。まちがいなく同胞社会は変化している。変わり行く社会の中では、相談所からの出会いもひとつのきっかけ、手段になるだろう。 [朝鮮新報 2006.9.25] |