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総連中央、民団中央の「提議書」に対する見解

 民団中央は、総連中央の徐萬述議長あてに河丙ト団長名義の「提議書」(6月5日付)を送ってきた。

 「提議書」で民団中央は、在日同胞の和解、和合と大同団結、祖国の平和統一運動参与、在日同胞の懸案問題に関する相互協力を内容とする5.17共同声明は、多くの在日同胞から賛同を得ていると指摘した。

 しかしながら、共同声明第2項に示された「6.15共同行事」に関して時間的に余裕がなく、諸般の事情により参加を断念せざるをえなくなったことを了解してくれるよう求めた。

 また、内外のわい曲報道により民団事業に対する誤解が広がった点についての正しい理解を求めながら、地方参政権獲得運動、脱北者支援、母国訪問団事業、拉致問題に対する支援活動などは中央委員会および中央執行委員会の決定事項であり、継続事業である点を明らかにするとした。

 「提議書」で民団中央は、5.17共同声明は在日同胞の長い対立の歴史に終止符を打ち、在日和合社会実現のための歴史的一歩を踏み出したことに大きな意義があり、これから民団が5.17共同声明において明らかにした和合の基本精神に従い、在日同胞の共通の懸案を解決するために総連と協力していく意思を表明した。

 これに対し総連中央は9日、同「提議書」に対する徐萬述議長名義の見解を民団中央に送った。全文は以下のとおり。

 在日本大韓民国民団中央本部団長 河丙ト貴下

 私は、貴下名義の民団中央本部からの6月5日付「提議書」を6月7日、受け取りました。

 総連中央は、「提議書」に対する私たちの見解を以下のようにお知らせします。

 「総連、民団5.17共同声明」は、総連中央の代表と民団中央の代表が公式会談を持ち、総連議長と民団中央団長がサインしたもので、両組織間で結ばれた合意文書です。

 5.17共同声明の発表は、両団体が認めたように、総連と民団が祖国の統一と全民族的な団結へと進む民族史の要求と在日同胞の志向に沿って、長い間続いた反目と対立を和解と和合へと転換させるうえでとても重要な歴史的意義を持ちます。

 現在、総連と民団をはじめとする各界各層の在日同胞は、5.17共同声明の発表を大きな感激と喜びをもって歓迎、支持しており、北と南はもちろん、世界各地の海外同胞、日本をはじめとする国際世論も祝賀と支持を表明しています。

 総連は5.17共同声明を実現するため、自らの責任を果たそうと努力しています。

 こうした時に、民団中央は今回の「提議書」で共同声明第2項に示された6.15共同行事に関し時間的に余裕がなく、諸般の事情により行事に参与することを断念するほかなく、この点を広く了解してくれるようにとしました。

 総連は、今年の6.15民族統一大祝典行事に民団代表が参加することを断念したことについて、遺憾かつさびしく思うとともに、総連は光州で開かれる民族統一大祝典行事に参加するということをお知らせします。

 次に、一部で、総連中央と民団中央が5.17会談を準備する過程で、一方が「譲歩」したり、何らかの「密約」があったなどとする言動をしていることについて、共同声明を傷つけ世論を誤った方向に導こうとする卑劣で黙過できない行為だと言わざるをえません。

 「提議書」で、民団の「決定事項であり継続事業」だとされるいくつかの問題は、今回の5.17共同声明の準備から発表にいたるまでの間、一度も議論されたことのないものです。

 総連中央と民団中央は5.17共同声明を準備する過程で、祖国統一と民族的大団結という民族史の流れに合流し、在日同胞社会と次世代の未来に資する方向で責任を共有し、一貫して両団体間の和解と和合についてのみ討論しました。

 総連と民団にはそれぞれ綱領と規約、歴史があり、それに基づいた組織決定と活動があります。

 今回の「提議書」であげているいくつかの問題については、総連は過去に自らの見解を明らかにしています。

 しかし、総連中央は大局的立場から時代と同胞社会の要求に沿って、対立ではなく和合のために互いの信頼を図り一致点を探して共同声明が発表できるよう努力したのです。

 貴下は、「提議書」で今回の5.17共同声明の意義を評価しながら、「これからわれわれ民団は5.17共同声明において明らかにした在日和合の基本精神に従い、貴組織と在日同胞の共通諸懸案を解決するために可能な分野から一つずつ確実に協力していこうとしています」と述べました。

 私は、貴下の意思を確信しながら、5.17共同声明の理念と合意事項を実現するためにすべての誠意と努力を傾けていくことを確言します。

2006年6月9日
在日本朝鮮人総連合会
議長 徐萬述

[朝鮮新報 2006.6.13]