朝鮮人強制連行真相解明を 総連、民団軸に日本市民の支援の輪 愛知で4団体が集い |
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会、愛知県朝鮮人強制連行真相調査団「マダン21」、民団愛知県地方本部、総連愛知県本部ら4団体が主催する「日本とコリア間の真実と未来を照らす 5.13あいちの集い」が13日、名古屋市教育館講堂(愛知県名古屋市)で行われた。会場には日本人150人を含む230余人の聴衆が詰め掛けた。集いは、愛知県で総連と民団を軸に、朝鮮人強制連行問題の解決を日本市民らの幅広い支持を得ながら訴えていくための大きな契機になった。 4団体共通の思い
集いではまず、4主催団体代表があいさつした。 「支援する会」の高橋信代表は、「日本社会では朝鮮植民地支配に対する認識がまだまだ低い。日本市民の輪を広げ、理解と支援を得ていこうとの思いで4団体が今日集まった」と指摘。「マダン21」の寺尾光身団長は、「今日の実行委員会の構成団体に民団と総連が名を連ねた。このような動きが南北の関係改善をさらに後押しし、東アジアの平和構築へと広がっていってほしい」と語った。 民団愛知県地方本部の徐海錫副団長は、「東山霊安殿の遺骨問題は、歴史的経緯を明らかにしなければならない。今日がそのための新たな出発点となることを祈念する」と述べた。総連愛知県本部の河貞鳳委員長は、「強制連行問題の解決は、北と南の力で必ず成し遂げられる。これからも総連、民団が一緒に力を合わせていきたい」と強調した。 「被害の訴えは義務である」
つづいて、南の政府機関である日帝強占下強制動員被害真相究明委員会前事務局長の崔鳳泰弁護士が講演。また、勤労挺身隊訴訟弁護団の岩月浩二弁護士、フォトジャーナリストの伊藤孝司さんらが報告した。 「日帝強占下強制動員の被害〜真相究明活動にかかわって〜」と題し講演した崔弁護士は、政府機関にいながら感じた点、南での最近の動向について言及した。 崔弁護士はまず、南の「日帝強占下強制動員被害真相究明特別法」(04年2月13日国会通過)は被害者の地道な戦いによって作られたと指摘。長い時間が経過し多くの被害者が他界したが、現在21万人の被害申告が出されており、被害申告に対する速やかな判定が懸案になっていると語った。 04年12月の南と日本の首脳会談で、日本側は遺骨調査への協力を承諾した。 その実務者協議で首席代表を務めた崔弁護士は、3回にわたって本会議を行ったが、その過程で日本側に多々、強く抗議したという。 代表的なものが日本企業側の非協力。提示資料はごく一部で死亡通知、遺骨も送り返さないなど消極的であると強調した。さらに、地方自治体への埋火葬認可証の早期提示を求めた。そして、最近生存が確認された麻生炭鉱被害者に対し麻生外相は被害者を慰労すべきだと語った。 崔弁護士は、さかんに「被害を訴えるのは義務」であると強調した。 挺身隊訴訟、必ず勝訴を 岩月浩二弁護士は、5人の被害者らが7年前から日本国と三菱に謝罪と補償を求め、訴えを起こした勤労挺身隊訴訟について報告した。 岩月弁護士は訴訟について、@未成年の子どもへの被害、A女性の被害、B現在も続く被害を償う点にあると指摘し、日帝により汚され失われた人生、対価を求める彼女らの問いは今なお続いていると強調した。 そしてこの間、日本の市民が裁判支援に乗り出し国籍を超えた運動となっていることを受け、「勝訴に向けがんばりたい」と決意を語った。 一日も早く遺族の元へ
「マダン21」事務局の伊藤孝司さんは、「名古屋市社会福祉協議会」によって強制連行被害者の遺骨が粉砕処理された東山霊安殿問題について、南で取材した様子をビデオに編集し報告した。91年に民団愛知県本部が入手した121人分の名簿中、9人の遺族が南で見つかり、そのうち5組の遺族と面会した。 伊藤さんは、調査過程で遺骨をすぐ返してくれという遺族もいる一方、経済的余裕がない、話もしたくないなどさまざまな対応があったと紹介した。 そして「遺骨をどうするかは遺族が決めることだが、東山霊安殿のコンクリートの冷たい納骨堂に今後もこのまま安置することには胸が痛む。どうにかできないかと考えている」と訴えた。 最後に日本での生活の様子、亡くなった原因などを遺族に少しでも伝え、遺骨粉砕の防止策を立て、遺骨を一日も早く遺族の元へ返すため、行政に働きかけていきたいと語った。(李東浩記者) [朝鮮新報 2006.5.23] |